ブログやツイッターで連絡をくれた人から英語について聞かれることが多い。
私は良いと言われることは大抵試していて、その上で生活に組み込めることを積極的に習慣にしたので、一般的な英語の勉強法ならこの記事を読むよりそれを専門に仕事をしているような人たちのブログやYouTubeの方が役に立つと思うけれど、気になる人は参考にしてほしい。思い出せる限りのことを時系列で書いていく。
中学高校時代
私は中学1年生の時に英語を始めた。英語が好きだったので、教科書に出てくる単語は試験のたびに全部覚えるとか、予習ノートを完璧に作るとか、何度も教科書を音読して覚えるとか、そういう学校の先生が中高生に勧めるようなことは全部やっていた。高校生になってからは、昼休みによくAssistant Language Teacherに会いにいって、気になる新聞記事などを訳してそこに自分の意見を加える、というようなことをしていた。
高校生くらいから、ノートの日本語訳を完璧な文法の日本語にしないで、英語のまま前から訳すスタイルの和訳を始めたと思う。例えば今日のBBCのヘッドラインを飾る、ボリスジョンソンが議会で嘘の答弁をした件では、こんな感じになる:
- A report by MPs says / ex-Prime Minister Boris Johnson deliberately misled the Commons / over lockdown parties / at No 10.
- 議員たちによるレポートはこう言う / 前首相であるボリスジョンソンは故意に庶民院を欺いた / ロックダウン中のパーティーについて / No 10における
これは遠山顕さんのポッドキャストで紹介されていたやり方で、今は遠山顕の いつでも! 英会話入門というのを運営されているようだが(今聞いた感じでは上記の和訳スタイルはとっていない)、当時はビジネス英会話のポッドキャスト(と他にも1つ、プログラムがあったような気がする)を運営されていて、そこでは上記のような訳し方をされていたので参考にした。
中学生から高校生にかけてはNHKのラジオ英会話もやっていたと思う。毎日だったか毎週だったかすら覚えていないが、きちんと毎回聴講することに達成感があったことはおぼえている。ラジオ英会話のテキストには(今もそうなのかは知らないが)巻末に単語カードがついてくるので、それを切り取って箱に集めて、数学や物理など嫌いな科目を頑張った後の息抜きにダラダラ眺めるなどしていた。高校生くらいからは英語は勉強するものではなく「楽しい息抜き」になっていた。教科書の英文をノートに書き写す作業は今思うと写経のような心を無にする時間で瞑想的だったのかもしれない。
日記やブログや手帳も英語で書いていた。環境問題や動物愛護に強い関心があったので、それでブログを書いて、外国の同い年くらいの人にコメントをもらえるのが嬉しかった。日記やブログの難点は間違った文章も添削されないことだが、最近はlanguage exchangeのウェブサイトやアプリがたくさんあると思うので、そういうのも使うと良いと思う。
嫌いな数学も、英語でやれば好きになるかもしれないと、アメリカの高校生向けのウェブサイトを見ることがあったし(結局数学は好きにはなれなかったけれど)、生物では図表の巻末のIndexに日本語の用語に加えてその英語訳が載っていたので、その英語もこまめに図表の該当ページに書き込むなどしていて、本当に英語狂いだったと思う。
今も覚えてるお気に入りだった参考書は、英文標準問題精講、キクタン、テーマ別英単語 ACADEMIC [上級] だが、もう昔のことなので、今はもっといい参考書がたくさんあるかもしれない。
医学生時代
大学生になってからは、多分1-2年くらい、週2-3回くらいのペースでオンラインのグループ英会話のレッスンをやっていたと思う。当時はスペースアルクが定額で好きなだけ受講できるグループ英会話の事業を展開していて(今調べるとグループレッスンはもうやっていないみたいだ)、1-3人の受講生と一緒に講師1人と英語で会話する、ということをしていた。最近はオンラインのレッスンも色々あると思うので、費用や利便性の面で自分に合うものを探してみると良いと思う。
少し話が逸れるが辞めた理由を今も明確に覚えていて、それはあるグループレッスンで、60代くらいの女性が「女子力」を「ガールパワー」と訳していたことが発端だった。当時「女子力」の押し付けと自分の意志や行為が全て「女子」の観点に回収されていくことに強い不満を覚えていた若かった私は、それが許せなくて、「女子力」の含意と「ガールパワー」の含意が文化的に異なること、日本での(少なくとも当時の社会での20代前半の女性に対して使われる)「女子力」は女性を特定の型にはめ込みそうでない女性を揶揄する言葉として存在していて「ガールパワー」とは対極にあるもの、を説明したかったのだが、当時の英語力ではそれがうまくいかず、その女性にはあなたが間違っていると言われ、講師にまで「あなたがそういう雑誌ばかり読んでいるからあなたの周りでは『女子力』はそういう意味なんでしょう。ガールパワー=女子力=女性をエンパワーする言葉だ」などと馬鹿にされてしまい、腹が立ったので辞めた。
話を戻すが、通学時やランニング中のポッドキャストも変わらず日課だった。英語の映画も積極的に観ていたが、英語で字幕なしで映画を観るのはまだ当時の私には難易度が高かったと思う。
医学英語については、病気がみえるのフッターについている医学英語とその和訳をひたすら暗記した。その上で、英語の教科書を好んで使っていた。医学部4-5年生くらいになると、試験の解答を英語で書くなどしていたと思う。今思うと大変迷惑な学生だし、何を考えていたのか自分でもわからないが、それくらい英語が好きだったことの証左だと思う。
単語の暗記は、当時は泥臭いやり方(横向きA4用紙を8つの列ができるように折りたたみ、列1に英語、列2に日本語、列3に列1の英語を隠しながら列2の英語を書いて答え合わせ、列4に列12を隠しながら列3の日本語を書いて答え合わせ、…として英日英日英日英日でA4用紙の8つの列が全て埋まるようにテストしつつ書いて覚えることができる)をしていた。部屋中に付箋を貼って覚えることもしていた。ただ医学用語については、デジタル化が進む現在一般的なもの以外は正確なスペリングを求められる機会はほとんどないと思うので、Ankiのアプリなどを使った方が効率がいいかもしれない。
ちょっと閉鎖的な地方で育ったので、違う世界を感じさせてくれるJapan Exchange & Teaching Programmeでやってくる英語圏の友達と時間を過ごすのがとても楽しくて、それも定期的に英語に触れる機会になったと思う。そのうちの3名とは今も連絡を取り合っている。他にも医療通訳や国際交流センターでの通訳ボランティアなどをしていた。
研修医時代
通勤時やランニング中のポッドキャストも変わらず日課だった。英語で字幕なしで映画を観ても70-80%くらいわかるようになってきた。
私は手稲渓仁会病院で研修をしたので、当時は教育担当として米国医師免許をもった英語を話す医師が常駐しており、英語での教育回診や講義がたくさんあった。帰国子女の同期もいて、私のつたない英会話にも付き合ってくれた。それまで自分は周りの社会にとってなんとなく異質な存在だったが、この病院に来て初めて自分がそんなに変じゃないと思えるようになって居心地が良かった。今はアメリカとのパイプがさらにパワーアップしているようなので、(米国に限らず)いつか海外へ、英語での臨床に興味がある、という人にはおすすめの病院だ。
手稲渓仁会病院の研修医が地域医療で訪れる病院の一つの倶知安厚生病院も大変素晴らしいところで、研修医として過ごした1ヶ月がとても居心地が良かったこと、英語を使う機会がふんだんにあったこと(世界的なリゾート地ニセコに隣接しているため)から、奨学金をいただく留学期間が終わって日本に一時帰国する時にはここの病院の総合診療科で働かせてもらった。手稲のような英語での教育回診はないが、ある程度英語ができて実践的な訓練をしたいという人には大変おすすめの病院だ。いつか海外に行きたいという人でも歓迎と診療部長の先生に言っていただいたので、興味のある人はぜひコンタクトを取ってみてほしい。
イギリスで
研究/院留学中もきっと英語力が上達したと思うのだが、あまりそれを感じることはなかった。留学すると英語が手段になって、英語そのものを集中して勉強するわけではないので、英語力を向上するだけが目的なら、日本で貪欲に上述したような方法でガリガリ勉強した方が上達するような気がする。
英語力がかつてなく向上したと実感したのは英国で臨床医になってからだった。否応なく1日8-11時間もの間英語を聞いたり話したり書いたりしなくてはならなかったので、勤務当初は疲れると日本語が顔を出していたが、今はそんなこともほとんどなくなった。
なので、留学は留学でも、毎日10時間くらい英語を書いたり話したり聞いたり読んだりする留学なら、英語力の向上は間違いなしだが、1日5時間くらいの学校生活とか受け身の姿勢では、留学は英語にそんなに役に立たないのではと疑っている。
社会人になってから
大人になってからイタリア語を勉強して上記に追加して思うのは、
- 訳ではなくイメージで覚えることの重要性
- 1日5分でも良いから習慣にすることの重要性
- Youtubeもとてもいい教材になること
だ。イメージで覚えることで、訳語を介さないでそのまま英語(外国語)が口をついて出てくるようになる(詳しくはFluent Forever How to Learn Any Language Fast and Never Forget Itを読んでほしい)。
それから、言語は結局いくつかのパターンの組み合わせで成り立っていて、例えば英会話は瞬間英作文能力なので、大量に文章を覚えるとあとはその中をちょこちょこ変えるだけで話せるようになる。その辺もこの本に書いてあるので参考にするといいと思う。
イタリア語をはじめてもう3年近くになるが、1日5分でもいいから細々と続けている期間と、週末に3時間くらい勉強してその後3週間休んで…というサイクルで勉強をしている期間とでは、前者の方がイタリア語が身についていたと感じる。
Youtubeは言語学習の邪道だと思っていたのだが、最近はとても良い動画がたくさんあるので、積極的に使っている。英語や医学英語に関してもきっとそうなので、疲れて何もしたくない日でも「5分だけ」と思ってダラダラ眺めてみるといいかもしれない。
ほかにも何か思い出したら追加で書くが、やはり語学学習は細く長く続けることに限るので、自分にあった楽しめて長続きするやり方を見つけて欲しいと思う。

























