初期研修で同期だった友人がUKMLA (PLAB2) に合格したので合格体験記を書いてくれました。最新かつ大作です!高得点の合格おめでとう👏👏👏そして寄稿ありがとう!
- はじめに
- PLAB2とは、試験の構造・試験範囲
- ■Medical/Ethical/Social/Counselling cases
- ■Clinical stations (実際に体を動かすタイプのStations)
- 採点基準
- 心構え
- ■情報戦である
- ■正しい方向に努力を行う必要がある
- 分野別傾向
- ◾️Medical/Ethical/Social/Counselling cases
- Counselling
- Ethical scenarios
- Non accidental injury
- Breaking bad news
- Medical error
- LGBTQ
- Learning disability
- Angry patient
- Colleague related scenarios
- ■Clinical stations
- Simman(Talking mannequins)
- Examination
- Teaching
- Prescription
- Procedures
- 教材
- ■Dr Lovaan’s Masterclass
- ■Dr Mo Sobhy’s academy
- ■Dr BOSEの模試
- ■Geeky medics
- まとめ
はじめに
簡単に自己紹介します。初期研修後は整形外科の専攻医研修を修了し、現在卒後9年目になります。整形外科医として致命的な手荒れ悪化があり、キャリア変更を考える中でイギリスでの医師生活を目指すこととしました。このBlogでもあるように、NHSの全体的な状況は芳しくはなく、アメリカのように経済的にも恵まれるわけではないですが、中高時代2年ほどイギリスに住んでいた経験があり、イギリスでの挑戦を思い立った次第です。
渡英に際しいくつかPathwayはあるようですが、OET/IELTS→PLAB1→PLAB2→Job interviewという過程を考える日本人は多く無く孤独で大変です。僕は多くの人の助けを得ながらPLAB2までの過程をなんとか一回でPassすることができました。OET/IELTSやPLAB1は情報が豊富ですが、PLAB2は情報が少なく異質な試験であり(特に日本人にとって)、この記事では特に大変だったPLAB2について書こうと思います。
僕がPLAB2を受けたのは2024年7月上旬で、ちょうどタイムリーにUKMLAになった直後でした。試験範囲は若干の拡大はあるようですが、基本的に旧PLAB2と出題形式に変化はありません。変更後も皆UKMLA2とは呼ばず、PLAB2と呼んでいたのでここではPLAB2と書きます。
一応簡単なTimelineですが
2022年12月OET受験
2023年11月PLAB1 受験
2024年7月 PLAB2(UKMLA変更後)受験
です。
PLAB2の準備として、少し余裕を持って4〜5ヶ月前からノートを読み始め(子育てもあり)、試験5週前に渡英しDr MoのAcademyで勉強を行いました。結果は運良く14/15 stations(1 stationは新規出題で削除問題)をpass、130点(合格最低点94)でした。色々な人の助けを得ながら後述の情報戦で多くを得られたことがPassの要因として大きいと思います。日本にいた際に情報面で色々困っていた所、ここのサイトを教えてもらい非常に助けられました。
一般にPLAB2の合格率は63%程度と決して高くなく、今後PLAB2を受けられる方の役に僕もなんとか立てればと思い、可能な限りここで伝えます。長文で大変恐縮ですがもしご興味あればお付き合いください。
PLAB2とは、試験の構造・試験範囲
PLAB2は基本的にOSCEの試験ですが、日本のOSCEのように診察技法が重点的に評価されるものとは全く異なり、どのように患者対応を行うかのコミュニケーション能力、安全なManagementができるかが問われる試験です。
試験はPLAB1合格後にGeneral medical council(以下GMC)のサイトで申し込みできます。試験申込時にManchesterのHardman squareまたはstreetの二会場のいずれかランダムに振り分けがされ、現地に受けに行くことになります。どちらの試験会場が有利/不利等色々言われることはあるようですが、気にしなくて良いと思います。ちなみに試験は平日ほぼ毎日午前/午後やっており、日本の国試のような一年に一発勝負ということは全くありません。
会場では色々案内があった後に、PLAB2専門のエリアに案内され試験開始となります。個室ブースの前にある試験問題を1分30秒で読み、合図があったら入室し8分の制限時間内で終わった後は、次のブースに移ると言うことを繰り返します。こなすケースの数は18 stations; そのうち2つはrest stations で休憩のためなので、実際は16 stationsをこなす必要があります。GMCのPLAB2公式動画があるので、それを見るとイメージしやすいです。それぞれのケースは実際の模擬患者と対面で話す場合もあれば、電話・ビデオ通話・マネキンの診察等のバリエーションが存在します。
試験範囲は一応GMC公表のBlue printなるものが存在しますが、この通りに全て一からやる必要は無く、後述のAcademyがカバーする範囲を勉強すれば十分だと思います。勉強前〜やり始めの頃はケース/シナリオのバリエーションが無限にあるように感じられますが、PLAB2のケースは実は400ケース程度がシナリオのパターンとして存在し、無限にあるわけではありません。
StationsのカテゴリーはAcademyによって呼称は異なるようですが、ここでは大まかにClinical stationsとそれ以外に分けてみます。概ね下記のような感じでしょうか。詳細は後述の分野別で書きます。
■Medical/Ethical/Social/Counselling cases
- Counselling(Obesity, Smoking cessation, Pre-operative assessment等), Ethical scenarios (Patient refusal等), Non-accidental injury, Breaking bad news, Medical error, LGBTQ, Learning disability, Angry patient, Colleague related scenarios等です。
上記に加え分野別のStationが出題されます。
■Clinical stations (実際に体を動かすタイプのStations)
- Simman (Talking mannequins)
- Examination
- Teaching
- Prescription
- Procedures
上記を踏まえ実際の試験の流れ、時間の配分イメージとしてはMedical/Ethical/Social/CounsellingのStationsでは8分の時間内で、大体Data gatheringに4〜5分、ExaminationとManagementに3分程度というイメージでしょうか(Clinical stationsの時間配分は後述します)。
診察はExaminationのstation以外は実際に診察する必要はなくData gathering後に診察内容について言及することで、模擬患者から所見の紙を渡されます(言及しないと所見の紙を渡してくれないことがあります)
ケースによっては早く終わる可能性はありますが、早く終わったからといって落ちるわけではないようで、ポイントをついていれば問題無いようです。(ケースによっては4分で終わったけどpassした人もいたというのを聞きました)。
採点基準
PLAB2の採点基準は3項目ありData gathering, Interpersonal skills(IPS), Managementとそれぞれ4点満点です。大体Passとなる最低点は6点か7点です(かつては小数点刻みでしたが)。全体の流れがスムーズで時間内にManagementまで完結し、決定的ミスをせずに各項目でバランスよく得点することが求められます。決定的なManagementのミス等をすると、どんなにそこまでIPSが良くてもData gathering 1点、IPS 1点、Management 1点となることがあります。IPS4, Data gathering 1点, Management 1点という得点パターンでpassとなることはまず無いようです。
後述のDr Lovaan曰くPeople fail for three reasonsで次の3点を強調しています。
- Missing criteria questions
- Improper explanations
- Management
1はData gathering, 2はIPS, Management , 3はManagement に関連すると考えて良いと思います。
それぞれの項目を見ていきます。
Data gatheringはそれぞれの主訴に応じて疼痛に関連するものならSOCRATES, それ以外の主訴ならODIPARA等のゴロを用いながら聴取を行った後に必要な鑑別(DDx)→PMH, Med, Allergy, FH, Social, ICE(Idea, concerns, expectations)を聞くのが基本型です。必要に応じてOccupation, Driving, Sexual history, Period, Impact等も聴取が必要となります。その他で言うと、分野別毎に必要な質問は変わり、例えば精神科ならODIPARAの後にMood, Suicide, Insight, Support(Family, Friends, ±Finance)を聴くことが重要です。
また、基本型のみの聴取では点数が得られないこともあり、Criteria questions; それぞれのScenarioに応じてKeyとなる質問をすることも大事です。(例えばADHDのケースならinattentive symptoms とhyperactive symptomsについて聞くといった具合です)
Data gatheringの核となるICEですが、さらっと聞くこともあれば、カウンセリングやSocialなケース等によっては質問を変えながら細やかにIdea/Concernsを引き出していくことが重要です。
次にIPSとはInterpersonal skillsの略で、対人Communication力を見られる項目で、試験ブースに入った瞬間の挨拶から退室までの全てを見られていると言われております。いい人、傾聴するだけではPassとはなりません。相手の反応を見ずに一方的に話し続けたり(この匙加減は難しい所ですが)、Eye contactをしない等は減点対象です。
Managementは基本的に暫定診断を伝えた上で、検査、治療等の説明、ICEで聴取したことを反映させる必要があります。診断名はほぼ全てのケースで言及します。万が一診断名間違っていたとしても、その後大枠が外れていなければPassとなることもあるようですが、正しく診断できるに越したことはないでしょう。また、Managementを考える上で、問題文のSettingが何処なのかGPか,A&EかWardかによって変わるのでSettingは常に意識しなければなりません。
その上で、下記のような点をManagementに織り込む必要があります。
- Test: 今後どのような検査が必要になるか
- Treatment: どのような治療があるのか
- Admission: 入院が必要なのか、電話の面談であればすぐに来院してもらう必要があるのか
- Referral: どこに紹介するのか、どれくらいの期間•急いで紹介するのか
- 緊急の場合、紹介先には車で行くのか、救急車を呼ぶのか、特殊なチームを送るのか(crisis resolution home treatment team等)
- Senior: Seniorに言及しないといけないのか
- Safety net: red flagsの症状があったらすぐに再診するようにと伝える
- Follow-up:再診が必要ならいつにするか
- Leaflet: 僕は診断をつけたケースに関してはほぼ全て言及していました。
上記はケースによって順番等を変えながら臨機応変に伝えることになります。
心構え
■情報戦である
どの試験も当たり前ですが、PLAB2は情報戦です。ネットの情報は様々な情報(サクラの投稿、デマ、古い情報が多々あり)が混在し、大事なことがわかりづらいのが現況です。ここではPLAB2で仕入れるべき情報、私が主に用いた情報源について書きます。
情報収集の第一段階としてはどんなAcademy•教材が良いのかに関してが最重要です。絶対の正解は無いですが、有益でないAcademy・教材は残念ながら多く、それだけで合否を分けてしまう可能性があります。当たり前ですがこれに関しては刻々と変化する可能性があり、後述のAcademy・教材が必ずしも正しいという訳ではなく、受ける時期によっては情報が遅れている可能性があるため注意が必要です。
Academy等の情報が得られたあとは、試験全体の概要を掴みつつ、それぞれのケースのポイント(Criteria questions, Managementのツボは何か)、最近のトレンドや新作のシナリオは何か?といった情報を仕入れ続ける必要があります。
僕個人としての主な情報収集源は①Whatsappのgroupと②PLAB forum、③練習Partner 達と情報交換を行ってましたが、Partner達から得られる情報が最も有用でした。
①Whatsappは日本にいると馴染みが無いですが、海外版Lineというべき存在で無ければダウンロードしましょう。PLAB2のGroupに入って情報を得ることになりますがで、後述のDr LovaanやMo SobhyのAcademyに申し込むとすぐにgroupに入れてくれます(他のAcademyについては未確認ですが、恐らく存在すると思います)。必要でない情報であることも多々ありますが、より生き生きとした情報が入ります。
②PLAB forum
会員登録が必要ですが、Recalls(過去問)がチェックできます。試験内容、トレンドのScenarioが必ずあるので、Recallsのチェックは必須です。Academyの情報も出ているので、そちらも参考にするといいかもしれません。
③良いPartnerに当たればとても勉強になりますが、Partnerによっては間違った方向に努力を進めている可能性があるので、リスクヘッジとして複数のPartner、または情報交換の機会を得られるようにした方が良いと思います。
■正しい方向に努力を行う必要がある
やはりアウトプットの試験なので可能な限り毎日の練習が重要です。全てのケースは困難かもしれませんが、重要scenarioや難しいケースは重点的に練習するようにしました。僕は後述のacademyで幸運にもフィーリングが合うインド人の友人に出会うことが出来たため、とにかく練習しました。Partnerとの練習時間以外は録画したり、鏡の前で喋って練習するようにしました。一人の練習も意外に効果的で侮れませんが、Partnerは必須です。タイマーをセットして6:30-7:00前後で終わるように練習してました。
- Scenario/Managementを覚え、Structureを叩き込む
後述のDr Lovaanも言っておりますが、Scenarioを一つ一つ覚える勢いで頭に叩き込み、ケースを十分に習熟した状態のレベルに持っていくことが重要です。ただし、注意が必要なのはscriptedという状態で、シナリオを事前に知ってるかのような流れを無視した質問や、鑑別疾患に関連した質問を怠ったり、覚えた文章を機械的に話すとFailとなるためこの点は十分注意です。
Scenarioをしっかり把握した上で、自分の流れを反復練習で叩き込むことが重要です。例えばData Gatheringにおいて SOCRATES, ODIPARA→DDx→PMH, Med, Allergy, FH, Social→ICE 等は言い淀まずスラスラと言えることが重要です。細かいかもしれませんがSOCRATES等は順番に言えた方が良いと思います。パートナーとの練習時・模試等で順番に言わないで何回かやっていたところ、順番に言えた方が良いと数人から指摘を受けました。試験官も人間であり、順番通りに聞くcandidatesが多い中で、順番がごちゃごちゃになっていると聞き落とすからです(聞いたのに聞いてないと採点される可能性があります)。
Managementはケースに応じて適宜順番を変えながら話しておりましたが、所々立ち止まって模擬患者に質問を促すようにしていました。また、重要なポイントを漏らさないように(前述の採点基準を)、繰り返し練習することが重要です。大体僕は下記の流れで説明していました。あくまで一例で、臨機応変に変える必要があります。
Diagnosis→Explanation→(±Admission/Referral, Senior) →Test→Treatment→Follow-up→Safetynet→Leaflet→Questions
少し漠然として分かりづらいかもしれません。具体例としてMeningitisのケースを見てみましょう。設定として、30代男性がGPにHeadacheで来院したとします。
Data gatheringは下記を漏らさずに聞くようにします。
PainなのでSOCRATES
DDx (Fever, neck stiffness, Skin rash, red eyes, any weakness in your body, any changes in your vision?, any pain while chewing or combing your hair?)
PMH, Med, Allergy, FH, Social, Travel history
Contact (Girlfriendがいると答えるとします)
Examination: バイタルサインへ言及、Neurological examinationとNeckの診察、皮疹のチェックも忘れずに
Examination後のManagementはイメージしづらいかもしれないので解答例を書いてみます。
Thank you for answering my questions. From what you have told me, this could be a condition called meningitis.Have you heard of this before?
It is the infection of the area surrounding the brain and spinal cord. Now, because this is potentially life-threatening, I’m afraid we have to call an ambulance, and you will be admitted to the hospital. I also need to inform my senior about your condition so that we can work as a team.
When we suspect meningitis, we have to start the treatment immediately. We will give you an antibiotic called Benzylpenicillin here in the GP.
After arriving at the hospital, they will do the tests like blood tests, blood cultures to see the infection within your blood, and a lumbar puncture test, which involves inserting a thin needle from your back to confirm the diagnosis. We might need to take a CT scan to assess other lesions as well.
Any questions so far?
As for treatment, they will give an antibiotic called penicillin and steroids to minimise the inflammation. You will also receive painkillers to relieve your headache.
Now, the risk of spreading meningitis is generally low, but we also have to inform your girlfriend so that she can receive antibiotics called Rifampicin as a precautionary measure.
Also, because this is a notifiable condition, this needs to be reported to the relevant department.
I’ll give you a leaflet about this condition.
Any other questions or concerns?
(Safety netはなくても良いかもしれませんが敢えて言うならば、If you feel unwell and notice some changes to your condition at any point, please let one of the medical staff knowのような感じでしょうか)
上記は一例ですが、このような流れで一つ一つのケースについてManagementのツボを外さないように繰り返し練習し、自分なりの流れを持つことが重要です。
分野別傾向
それぞれについて見ていこうと思います。ケースは無限に存在するように見えますが、実際は400程度のシナリオがパターンとして存在します。
◾️Medical/Ethical/Social/Counselling cases
Counselling
ObesityやSmoking cessationやPre-operative assessment, Follow upのケース等があります。Data gathering途中でも質問が来たりするので、これらに答えながら流れを臨機応変に変えます。ICEに関する質問はData gatheringの要です。Impact等の質問も重要です。
Ethical scenarios
基本的には必要のない検査/治療を不要であると説明したり、治療拒否する患者を説得したりします。例えば不必要な扁桃摘出をしなくていいと説明するケース、診断書の記載変更を断るケースがあります。論理的な説明、繊細な言い回しも多く求められ、IPS, Management が問われるケースだと思います。
Non accidental injury
虐待を見た場合に関しどのような対応を行うかに関するstationです。Medicalと言うよりはSocialな側面が濃いです。虐待を見た場合どこに連絡しないといけないのか、どのサポートグループを紹介するか等が重要です。
Breaking bad news
癌の告知、終末期の病状説明等を行います。相手の反応を見ながら、適度に止まりながら話すことが求められます。
Medical error
診断や処方の間違いを患者に説明します。模擬患者に怒りをぶつけられるケースもあります。言い訳なく、事実を歪めず正しく患者に説明することが求められます。
LGBTQ
トランスジェンダーのケース、homosexualの思春期少年、lesbianカップルの妊娠等の対応があります。問題文に明示されているケースの方が多いですが、明示されてないこともあります。黙秘を貫く場合の対応等も見られます。
Learning disability
どのようなdisabilityがあるのか聞いた上で、相手の理解を見ながらわかりやすく話す必要があります。ただし時間内には完了させないといけないので時間配分は注意です。
Angry patient
病状が伝わっておらず怒る家族、ミスに対して怒る患者の対応が求められます。少しMedical errorとも重複します。模擬患者は迫真の演技で怒鳴ったりしますが、冷静に落ち着いて返答することが必要です。
問題行動のある同僚医師•医学生(酒、ドラッグ等)に対応します。どのような説明を行うか、上に報告しないといけないのか、報告する場合はどこに報告するかがManagementのポイントです。
上記のシナリオは頻出する印象です。上記に加え分野別•症候別のStationが登場します。産婦人科、小児科、精神科はどの日もほぼ必ず登場し、それに加え皮膚科、耳鼻科等が頻出します。他は出たり出なかったりです。
■Clinical stations
一つずつ見ていきます。上記のcasesと比較し、パターン数はそれぞれ多くなく、それぞれ出たら絶対に落とさないと言う気概が必要だと思います。
Simman(Talking mannequins)
必ず1題出ます。Scenario数は20程度なので、それぞれのケースを覚えていきましょう。いずれのケースも友人とABCDEに沿って練習を行いました。マネキンがなくても一人で枕を使って練習を行なっておりました。
最初にData gatheringを1〜2分程度で簡単に済ませ、ABCDEに行きます。
ABCDEそれぞれで診察を行い、その都度治療介入・Actionをしていくという流れです。例えばAの段階でSpO2下がっていたら、酸素投与のマスクをカートからとり、マネキンに装着してBにいくというような感じです。Eまで行ったあとは、最後にManagementをこれまた1分程度で簡潔に話します。Simmanのケースは重症なケースなのでSeniorやConsultantに必ず言及するべきでしょう。
僕個人、絶対に落とせないと思い練習を行いました。模試でも得点できていたので、自信を持っていたつもりですが、本番はなぜか問診に少し時間をかけてしまったのと、器具が中々カートから見つからなかったのとで、Managementに辿り着かずFailとなってしまいました。カートの中に物品がたくさん入っておりますが、冷静に何があるか探せば通常は大丈夫と思います。
Examination
日によりますが、出ない日は0題、出る日は2題出題されることもあるようです。どうやってExaminationのstationと判断するかですが、問題文に診察しなさいと明記されているか、他は部屋に入った瞬間にマネキンが置いてある場合もExaminationです(過去には部屋の隅に置いてあるマネキンに気づかず、Failとなる人がいたと聞きます。まさかと思うかもしれませんが、注意しましょう。)
範囲は全ての診察という訳ではなく、Eye, Ear, Abdoman, Orthopedic(shoulder, ankle), Urologyの分野に限定されます。それぞれに決まったScenarioがあるので、それを叩き込む必要があります。最初に2分程度でData gathering後、4分のExamination、2分でManagementという時間戦略をAcademyでは教えられました。診察前/中の声がけ等注意すべきポイントはたくさんあります。
Teaching
出題されたりされなかったりです。出ても1題でしょうか。Medical Student、患者の親に対してお題に沿ってTeaching (例えばEpipen, BLS, ECG等)を行うというものです。簡単にData gatheringを行った後に教えることになります。教えて欲しいという内容以外を喋り続けると点が得られないようです。
Prescription
必ず1 station出題されます。なんてことは無いのですが、勉強すればほぼ満点を狙えますので絶対に落とせません。合否を分けるといっても過言では無いと思います。最初に問題文を読んでから、処方箋を手書きするStationです。これもケースはそんなに多くなく、全てのパターンを頭に入れておく必要があります。長文のこともありますが、問題は一緒なので全く初見ということはありません。(Doseを変えられるということは無いようですが、今後変わる可能性もゼロではありません)
BNF(今日の治療薬的な存在)が部屋に入ると置いてあり(実は全部屋に置いてあるようですが、使うのはPrescriptionのケースのみと考えて良いです)、BNFを調べながら処方箋を書くというものです。基本的には部屋には模擬患者はおらず、試験官しかいません。模擬患者と話す必要のない唯一のStationですが、ごく稀に患者と話しながら処方箋を書くというCaseもあるようです。CaseによってはBNFでDoseを調べる時間など無いくらい、書く量が多い場合があるため、いくつかの薬剤はDose等を覚えていきました(周りの友人たちは皆暗記しておりました)。
Data gatheringは長文のAllergyの情報を見落とさない、発熱患者にはhidden taskとしてParacetamolを処方する等が見られるようです。IPSは何で見られるかというと、入室時の挨拶、部屋内にあるボールペンや椅子をちゃんと片付けるか、片付けきれなければ試験官に謝意を伝えられるかということのようです。
個人的には直前10日間はほぼ毎日、印刷したPrescription paperで練習を行いました。あとどうでもいいかもしれませんが、会場に置いてあるペンは細くて安いペンなので、それを使って練習しました。
Procedures
出題されたりされなかったりです。過去問を見ていると数日に1回登場するという印象でしょうか。内容は採血類、尿カテ等の基本手技ですが、日本でやったからと思うと足元を掬われます。器具の違い等あるのでAcademyで実物に触れた方が良いです。それ以外にもData gatheringをいかに簡潔にかつ要点を得て済ませるか、声かけ方法、採血に失敗したらどう説明するか等Pitfallは沢山あるので、全く一から学び直すという意気でやった方が良いでしょう。
教材
たくさんの教材、予備校が溢れていますが僕はDr Lovaan’s MasterclassとDr Mo Sobhyを主に利用しました。PLAB forumの予備校・教材選びのランキングではここ最近常に上位(1〜3位)であり、しばらくこのトレンドは続くかもしれません。
準備段階として私個人のお勧めとしては下記です。
まずDr Lovaanの講義を全て受ける(録画する)。ノートをまとめ、Partnerを複数確保し練習を行う。
可能であれば試験数週前より現地入りして、Dr MoのAcademy等でClinical stationsを練習・模試を受験する
■Dr Lovaan’s Masterclass
かつてSamson academy(たしか業界初のPLAB2予備校)でMentorとして働いていたミャンマー人医師のOnline講義(Zoom)です。IMGの中では最近のGold-standardというべき存在で、下記の通りハードルの高さを感じるかもしれませんが、受けることをお勧めします。(後述のDr MoのAcademy内で会ったIMGの大多数は受けている印象でした)
上述のClinical stationsや一部のケースはカバーしませんが、Medical/Ethical/Social/Counselling casesの9割以上をカバーします。PLAB自体の試験構造、重要シナリオをクリアカットに説明してくれます。授業日程の案内は4日間ですが、大体伸び伸びになって5~6日間、しかも朝の9時から夜の21〜22時までという気合いのいる講義です(休憩も少しありますが)。公式ノート等はなく彼が口頭で言う内容を自分でノートに取るというスタイルです。試験直前になるとRevision classという試験のヤマとなるケースだけを集めた1日の集中講義もあり、これは大変有益です。
日本にいながら全て聞き切るのは難しいと思うので、何かしら録画の手段を持った方が良いと思います。Groupに入ると誰かが作ったノートが出回っているので、それを使うのも良いでしょう。
僕は試験の数ヶ月前より存在に気づいてはいたものの、これを受ける時間はないと思い、受けずにいたところ友人に絶対受けろと説得され、慌てて試験3週間前に受けました。内容は素晴らしく3週間かかり切りでノートを読み込んだところ、一部のカウンセリングケースで満点近く取れました。もっと早く受けておけば良かったととても後悔しました。
Lovaan先生は英語ネイティブではありませんが、微妙な英語ニュアンスの言い回しもしっかり練られており、大変勉強になります。
また、Dr LovaanのコースではSeniorは必ずしも全例で言及しなくていいと教えられます。Life-threateningなCase (Simman等)では言及するように言われます。Seniorの言及に関しては指導者(Dr LovaanやDr Bose)によって少し変わるようです。私はDr Lovaanに倣って必ずしも全ケースでは言及しておりませんでした。
■Dr Mo Sobhy’s academy
Dr Moのノートと現地のAcademyの二つが特色です。ネットでは時折ネガティブなコメントも見かけますが、総合的にはお勧めです。
渡英前は特にノートを利用して勉強しました。Dialogueになっているため、試験のイメージは掴みやすいのですが、最近のノートは情報が少し過多で、重要ポイントがわかりづらい印象です。言い回しは上手い時もあれば、不十分なこともあります。アップデートされ続けているのと、カバー範囲が十分であるという点で優れており、僕は辞書的な使い方をしておりました。
Academyには試験5週間前に渡英し通いました。Academyは主催のDr Mo不在のことが多いですが、彼の教え子のMentor達によって運営されています。①Clinical stationsに関連したLectures、②Mock(模試+Ghalaba Mock), ③Recalls(過去問), ④Academy近くにBoothhallという宿舎があることが良かった点です。
①LecturesはClinical stationsの講義がMentor達によって毎日行われております。最初一週出れば、あとは基本的に同じです。講師の当たり外れはあるようですが、個人的には非常に有用でした。
②Mock(模試)は6分30秒で制限時間よりも短めに設定され、本番さながらの緊張感を持って臨めます。試験官は皆PLAB2を合格した人達なので勝手を理解しています。フィードバックはまちまちで採点も辛口ですが、大変お勧めです。僕は3回受験しました。その他にも、Ghalaba mockというランダムなパートナーと次々に練習を行うという機会が提供されているのも特徴的です。練習後にフィードバックし合うのですが、いかんせんパートナーによってフィードバックの質が違うのと、シナリオをちゃんと理解していないパートナーがいるので途中から出るのを辞めました。ただ取っ掛かりを掴む上では良かったのと、フィーリングの合うパートナーを見つける機会として利用しました。
③Recalls専用のファイルは現地のAcademyに行くとWhatsappのグループに入れてくれ、入手できます。問題文に加え解答例付きですが、複数のmentorによって書かれているので質のバラツキは多少あります。
④BoothhallはAcademyから徒歩5分程度の所にある学生寮です。共用部分でフィーリングの合うインド人パートナーと練習を繰り返し行いました。決まったパートナー以外にも共用部分で勉強している人は多いので、情報交換の場にもなります。
■Dr BOSEの模試
管理人さんや他の方も勧めており、Zoomを使ってClinical stations以外シナリオの模試を受けられます。演技も本番さながらですし、フィードバックを即日に送ってくれるのも嬉しい所です。フィードバックは比較的本番よりか、もしかすると多少甘めかもしれません。ManagementではSeniorに必ず言及するという点が上記のDr Lovaanと異なります。日本にいながら模試を受験する場合は特にお勧めです。録画して受験すると特に有意義でしょう。
■Geeky medics
必ずしもPLAB2と沿った内容ではないですが、ネイティブがどのように面接を行うのか勉強になります。言い回しをちょこちょこ盗むようにしてました。診察の動画も役に立ちます(その通り全てやる時間は無いですが)。
まとめ
出題のトレンドの変化等はあると思いますが、PLAB2の本質は①コミニュケーション能力②安全なManagementができるか、この2つに集約されると思います。最短で受かる確率を上げるには、Recallsを1〜2ヶ月分カバーする、Clinical stationsを落とさないと言う気概が重要と思います。
日本では受けることのないタイプの試験ですし、非常にストレス・プレッシャーがかかりますが、Passの字を見ると大きな達成感がある試験です。これを読んだ日本人受験生に少しでもお役に立てたら幸いです!
長文大変失礼しました(管理人さんありがとうございます)。