お金の話

そろそろ働き出して2年目に入るので、だいたいの出費や同い年くらいの英国人の関心ごとがわかってきた。もう少し早く知っておいてもよかったなと思うので、目安だが英国で働きたい人は参考にしてほしい。

1 イギリスにいるための費用 £447/y

  • Tier 2 Health and Care Worker VISA ー申請については、3年までなら£247、3年より長い期間なら£479を支払う。それに加えて、Biometricという指紋や顔写真を提出するための外部委託組織に追加で£200くらい払わなければならない。通常のSkilled Worker VISAと違い、Health and Care Worker だとImmigration Health Surcharge (IHS)を支払わなくて良い。

2 臨床医の出費 £1390/y + 試験代

  • GMC 年会費:£420/year。病気などで働けなかった期間があり年収が一定を下回る場合には割引もある。
  • Medical Defence Union (MDU)年会費:£725/year。医師むけの保険で、オプショナルの扱いだが英国で働く医師は基本的に全員これに類するindemnity coverにお金を払っている。医師のレベルが上がるともっと高くなるのかもしれない。
  • British Medical Association (BMA):£240/year。オプショナルだが、トラブルがあった時に助けてくれるので最初はメンバーになっておくと良いと友人にアドバイスされた。
  • 試験代(MSRAは無料だが、MRCP1と2はそれぞれ£460、PACES £657)、Portfolio £172/year などが追加でかかる。病院勤務の人はALSを4年ごとに受講せねばならず、それも£600-700/回くらいかかる。試験や仕事に必要なコースについては、一定額までは病院が負担してくれる(当院の場合は£670/yearだった気がする)が、それ以上は実費となる。

3 生活するための出費

  • 家賃とutility:地域やどんな家に住むかによってかなり変動する。一例だが、私がオックスフォードで友人とハウスシェアしていた時には、キッチン・トイレ・お風呂は共用の家でインターネットや水道・電気・ガス代込みで£650-700/monthくらいだった。現在は、キッチンだけシェアするen-suiteの病院のアコモデーションに住んでいて、水道・電気・ガスに加えてCouncil Taxも込みで £720/month払っている。
  • Council Tax:住んでいるBandによって異なる。一人暮らしだと25%の割引がある。Bandは家の大きさや住所などに依っていて、Oxfordのものを参考にするが一人暮らしの家だとだいたい£1400ー£1800/yearくらいが相場だと思う。
  • 車:研修医は州内の色々な病院を転々とするのであったほうがいいとされている(オックスフォードとロンドンの場合はなくても何とかなると聞いたことがある)。私の車は10万マイルを超えた15年くらい前の車で、£2450だった。駐車場代は病院は無料(有料とする病院もある)で、アパートの駐車場は£10/monthかかる。それに加えて車の税金は、私の車(1.2L以下の小型車)だと£20/yearくらいだったと思う。保険料は若い・車保有の経験がないと高くなる傾向にあり、私は£720/yearだったと思う。ちなみに会社は同期とコンサルタントに勧められたAdmiralにした。イギリスのカスタマーサービスはひどいので、車の保険なんかは多少高くても大手のきちんとしたところがいいと思う。

そのほかに当然、食費や日用品・娯楽費に携帯代など日本でも普通の費用がかかってくる。テレビを見る人はテレビのライセンス料もかかる(£120/yearくらいだったと思う)。物価がどんどん上昇しているがそれはこういう学生むけのページをみてもらうと参考になると思う。

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Tax Relief

(2)の仕事にかかる費用はTax Reliefを受けることができる。4年まで遡って申請できるので、急がなくてもいいのだが、イギリスで働くなら知っておくといいと思う。

私はFY2レベルの内科で£34000/yearの契約で、呼吸器内科勤務時は手取り(英語では”after tax” “take-home pay”という) £2000強/month、A&Eでは手取り£2500強(+バイトのシフトに入ると10時間で£500くらい)/month を受け取っていた。緩和ケア科に移動したらまた£2000/monthになるだろうと思っていたのだが、Tax Reliefを確か4月に申請して以降は5月からの給料も£2500強で推移しているので、Tax reliefが効いているのかなと思う。

初めての就活をする時には、FY2もST1も変わらない、と友人に言われた。確かに仕事内容的にはほぼ同じなのだが、ST1だと£40000/yearくらいの給与がもらえるので(医師のレベルと給与については国で一律決まっているので、地域差や病院間の差はそんなにない)日本で初期研修を終えて英国にくるなら、ST1/CT1以上を狙った方が金銭面でいいかもしれない。

NHSのpayslipは税金の区分や働いた時間が適当で間違っていることが多いので確認するように、というアドバイスは色々なところで耳にする。幸い私のは間違っていたことはなさそうに思うが、心配なら働き出してから英国の医学部出身の同僚やIMGでもしっかりしてそうな人に聞くと親切に教えてくれることが多い。

その他お金の話

住む場所にこだわりがなければ、イングランドの北の方や北アイルランドやスコットランドの田舎の方に就職すると生活費が低めでいいと思う。イギリスの南北問題は知っておくといいかもしれない。

NHSで働いているとDiscountもある。私はBlue Light CardOde Cardのメンバーで、前者は休暇のコテージや色々な買い物で割引が使えるし、後者は大手スーパーやBoots(英国で一般的な薬局)などで2.5%-10%のキャッシュバックを得られる。Grape Treeという私がいつも乾燥大豆を買っているお店は、NHSの名札を見せると10%割引になるので、ここに名前の載っていないお店でも割引があるか聞いてみるといいことがある。

最近はLifetime ISAをいうのを始めた。18歳から40歳までの人が作れる口座で、年に£4000まで入金できて、額に応じて年度末に政府が25%のボーナス(上限£1000)を追加してくれる。引き出せるのは、初めての家を買う時、60歳になった時、そして余命1年を切った時で、それまでに引き出すとペナルティがあるのだが、年間£4000積み立てると£1000もらえるし貯金するに越したことはないなと思って始めてみた。国外に引っ越すとどうなるのかなどは調べていないので、いつか日本に帰る可能性が高い人などは確認した方がいいと思う。

住宅ローンなどの借り入れ時に高いCredit Scoreがあると低い利率になる。Electoral Registerなど外国人の私が今すぐにできないことは仕方がないが、クレジットカードの適切な使用歴があると有利に働くことがあるらしいので作ってみた。私の銀行はLloydsで(多分どこの銀行でもCredit Scoreを計算してくれる)、私のCredit Scoreは585で”OK”となっている。ちなみにUKの平均は619、私の地域の平均は625らしい。支払いの遅延のみならず、引っ越しなどでもスコアが下がるそうで、これからも将来的に住みたい地域を探して転々としそうな私には少し厳しい。

ちなみに私は高い支払いをする時には、£1=100円で計算して、なんだ大したことないじゃないかとざわつく心を鎮めている…

Author: しら雲

An expert of the apricot grove

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