• 数週間前に初めてイタリア語の問題集を買った。これまでは文法の本を読んでからネットに転がっているクイズを解く形で文法の確認をしたり、ニュースを読んだりしていたのだけど、やっぱり教科書は良い。ページが進むごとに自分のイタリア語も上達してゆく(ような気がする)し、ニュースと違って明るい話題や文化的な話題が多いので楽しく勉強できる。

    日本語の本で持っているのは以下の3冊。

    • これならわかるイタリア語文法, 武田好, NHK出版
    • 日記を書いて身につけるイタリア語, 張あさ子, ベレ出版
    • Piazza

    Piazzaは難しすぎるので共用本棚に置いたまま一切触れてない。これならわかる〜は結構便利なので必要な時に何度も読み返しているけれど、基本的にイタリア語は英語またはイタリア語で勉強した方が日本語で勉強するよりもスッと頭に入る気がしている。

    私が初めて取り組んだワークブックはBasic Italianという本で、とても親切な説明と真っ直ぐな設問がよかったけれど、問題が少ないのですぐ終わってしまった。Practice Makes Perfect Italian Comprehensionは英語のタイトルだけどイタリア語だけで書かれた読解力をつける本で、これはPDFで見つけて良い感じだったけれどPDFのままでは解きづらいので本を買おうかなと思いつつ、読み物とドリルみたいなのを探していた。ら、libreria italiano bello を見つけた。イタリア語をイタリア語で勉強したい人はこの本屋さんで探すとレベルに応じた素晴らしい本がたくさん見つかると思う。サンプルを見ることができるのが良いし、この本屋さんで見かけて購入を決めた本は今の所外れがない。

    この本屋さんのサンプルを参考に、手に入れた・取り組んだ・今後取り組む予定なのは以下の4冊。

    STORIE di italiani famosi はイタリアの有名人についての本で、とても簡単なのでストレスなく読めた。これと同時にGramatica AVANZATAを始めたのだけど、こちらはさすがB 1-C1だけあって難しすぎたので一旦中止して(冗談のセンスが光る素晴らしい本なので後で絶対に解きたい)、Nuovo Espresso2を始めた。Espresso2(A2) はすらすら読めるので、3から始めるか2から始めるか迷ったのだけど、まずは基礎がためかなと思って2から始めることにした。ストレスなく読めて・解けて楽しいのでA2にしてよかったなと思う。

    Nuovo EspressoはBlackwell’sにも積んである本で、Language Centreの教科書にも使われてる標準的な本みたいだ。授業で使う本だからと避けていたけれど、作文なんかを見てくれる人がいるならNuovo Espressoは十分自習可能な本だと思う(いなければHello Talkに投稿してみるのもおすすめ)。もし私が今からイタリア語を勉強するなら、間違いなくNuovo Espressoシリーズに沿って自習するだろうなと思う。Nuovo Espresso 2の前に Italia Sempreを買ってしまっていたのだけど、普通にNuovo Espressoを進めていけば文化的な側面に触れられると思うので、Italia Sempreは必要なかったかも。とりあえず、Nuovo Espresso 2 (A2)-> Italia Sempre (A2-B1)と回り道をしてから今後はNuovo Espresso 3, 4, 5, 6 と進んでいくつもりでいる。

    新年の目標は「年末までにイタリア語をB2レベルにすること」だったけれど、B 1が現実的かなと下方修正した。今の私はA2〜B1レベルくらいなので、これまで100時間くらい勉強したとして、あと120ー200時間くらいかけるとやっとB1に到達できる。そこからB2はさらに+20ー100時間くらい。3-5時間/週くらいを目安に勉強しているので、B 1でも10ヶ月くらいかかりそう。コツコツ頑張ろう。

  • 昔書きかけていた記事を2年越しに投稿してみよう(もっと事例を集めようと思って温めていた記事だけどどうでもよくなった)。

    日本では夫婦別姓が認められていない、結婚したら大抵の場合女性が名前を変えることになり女性に不都合が多く生じていることがここ数年議論になっている、という話をした時に、母国の苗字事情を友達たちから聞くことができた。

    一番興味深かったのはスロバキアで、女性は子どもの時は父親の名前に-ová、結婚すると夫の苗字に-ováをつけた苗字を名乗るのが普通らしい。私の友人はこの慣習を問題視しているようで、結婚した時にKissováのように語尾変化をさせずKissで通している。妊婦検診の時に「Kissさん」と呼ばれて彼女が立ち上がったのを見て、苗字が-ováでないのに女性?妊婦?と周りが困惑しているのが手にとるようにわかったと言っていた。スロバキアにおける夫婦同姓は-ováをつけない選択をした女性たちの決意の表れと知って、かっこいいなと思った。(ちなみに子どもたちは、いじめられないようにとの配慮から慣習通りKissováという苗字を使っている。)

    イタリアでは、結婚しても、(男女共に)苗字を変更することはないが、こどもは父親の名前を引き継ぐことが殆どらしい。現在90歳前後の世代でも結婚後の苗字変更はそんなに一般的ではなかったと聞いて、「保守, 伝統, 結婚後の苗字変更」あたりの言葉が関連づけて使われる日本の印象が強かった私は少しびっくりした。

    フランスでは、結婚したら女性が苗字を変えることがかつては多かったが、今は夫婦別姓や二人の苗字を合わせたものを使う人も増えているみたい。

  • 3週間くらい前にNHSの応募フォームを埋めて以来、全く就活の手続きをしていなかったのだが、思い立って昨日は少し職探しと新しい応募フォームに取りかかった。

    ALSとe-ALS

    とあるGPには時間とお金が許せばALSのコースを受講すると良いと勧められたこと、友人には応募したい仕事にEssential Skillsとして記載がない限りは就職まで待つと良い(病院が費用を全額または一部負担してくれる)と言われたこと、を以前の記事で書いた。

    ALSを必須要項に含めている仕事は、私が探しているレベルの仕事(FY2, FY3, ST1, ST-LAS, CT-LAS, ST1/2, CT1/2, clinical fellow などの肩書き)でも科目によってはまあまあありそうな気がしている。昨日見ただけ(全部で5件くらい)でも、外科系や救急系の仕事でALSを必須要項に含めている案件が2件あった。

    ALSとe-ALSについてはRoad to UKのこの記事が詳しい。最終的に得られるCertificateは一緒だが、ALSは2日間にわたるin-person courseに参加義務がある一方で、e-ALSは1日online + 1日in-personで催されるようだ。ALSのウェブサイトには£56という記載があって、そのくらいなら病院に負担してもらわなくても大丈夫だと思って、いざ参加したい回の主催者にコンタクトを取ると、なんとALS £500・e-ALS £450もかかるようだった。別の主催者にコンタクトを取ってもALS £570と言われたので、大体この辺がロンドンでは相場みたいだ。

    私はしばらく臨床を離れた時期があるので(今もそうだし)、その点でも就活のために自腹で受講しようかなと思っている。

    応募要項

    上に書いたALSの他にも、私の場合は時々必須条件で足切りに引っかかることが判明した。例えば精神科の場合、最初に応募した方は問題なかったが、今回見かけた案件では「4ヶ月以上の精神科経験」が必須条件にあった。卒後5年以内、という要件もいくつか見かけた。私はぎりぎり5年を過ぎてるはずなのだが、最近GMCから謎の返金があって、問い合わせるとDiscount(卒後5年以内に申し込むとapplication feeが減額される)だと言われたので、もしかしたら5-6年はグレイゾーンで滑り込めるかもしれない?と楽観的なことも考えてしまうけれど、とにかく初期研修終了〜5年以内くらいのタイミングで渡英するのが色々円滑にいきそうという気がする。

    それから、地域によってはNHS Jobsで穴埋めしていく内容とほぼ同じ内容をその地域のNHSサイトで改めて穴埋めさせるようで、それが結構大変だった(極度のドライアイを経験した!)。まだ日本にいて仕事探しの段階ではない人でも、一応登録だけしてみて、どういう内容を問われるのか確認してみるといいかもしれない。

    CVは大学のCVアドバイザーに見てもらっていて、同じ内容でも見違えるように良くなったので、やはり慣れた人に見てもらうのが良いと思われる。

    Junior Doctorのポジションがない?

    791 medical graduates could miss out on NHS junior doctor trainingという記事がちょっとIMGsの間で話題になっていた。どうも現在調整中で、全員最終的には仕事が見つかりそうだとのことだが、NHS崩壊が叫ばれている割には(というかそのせいで?)意外と若手のポジションがないみたいだ。

    「何のPeer reviewed PublicationもTeaching Experienceもない私(/私の友人)でも仕事が見つかった」「就活後1ヶ月で仕事が見つかった」といった希望に満ちた経験談も時折見られるが、Oxford卒の私の友人でも3ヶ月かけて60-70箇所に応募してやっと仕事が見つかったといっていたくらいなので、仕事が見つかるまで(見つかってからもだけど)茨の道を想定しておこうと思っている。

    大変なことがたくさん待ち受けていて、結局PLAB2の準備をしていた頃と同じくらいのストレスにさらされているのだが、今年の秋には卒論も提出して仕事も見つかって新たなスタートが踏み出せていると信じよう。

  • GMC登録手続き(Full Registration)が思ったより大変だ。うまく行く人は申請と同時に書類審査に進めるのだろうと思うが、こういうこともあるんだなあと参考程度に読んでほしい。

    前回の記事に書いた通り、私はEPIC登録の際にFinal Medical DiplomaではなくAlternative Graduate Certificateを使ってしまったので、Final Medical Diplomaで再手続きの必要があった。その際に使った日本の翻訳業者が最低だった(役に立たない翻訳についてなんの言及も謝罪もなく追加分の返金もなし)せいでこの再手続きでさらに1ヶ月くらいかかってしまい、このままでは「PLAB2合格後3ヶ月以内に登録すれば有効期限切れのIELTSでも申請可」という時期を過ぎてしまう懸念があった。

    こういう状況に陥った場合はGMCに連絡したら臨機応変に対応してもらえる、連絡が遅くなって3ヶ月を過ぎると一切の猶予なく英語力証明書再提出となる、というFacebookのコメントを見かけたのでGMCに聞いてみると、EPICレポートを待たずにメールで申請手続き開始できることが判明した。

    ウェブサイトにある書類全てを揃えて提出したけれど、足りない書類・不備のある書類がいくつかあって、各方面との手続きがとても大変だった。慣れない書類を英語で用意してくださった病院事務の方々には感謝してもしきれない。以下、つまずいた点を書いてみる。

    オリジナルドキュメント

    ちなみに、書類の不備があると、以下のOriginal Documentを用意せよ・この用紙をプリントして用意した書類にチェックをして同封せよ、という返信が届くのだが、パンデミック以降は書類を作成した機関からGMCに直接メールされたものをOriginal Documentとみなすようで、郵送でのやりとりは要求されていないようだ。

    大文字で

    手書きの書類をGMCに提出するときは大抵、「大文字で黒いインクで」と指定がある。指定用紙の左上にうすく印刷された文字での注意書きなので、これから送ろうという段になってそれに気がついた私は書類一式を無駄にしてしまった。結局印刷が面倒になってタブレット上で手書きしたPDFを送ったがそれについては問題なさそうだ。

    初期研修のローテーション内容

    GMCが受け入れるローテーションには

    • 12ヶ月から18ヶ月の間に、少なくとも3ヶ月の内科と3ヶ月の外科ローテーション
    • 内科で6ヶ月以上、外科で6ヶ月以上、かつ18ヶ月以上継続したもの

    の2種類がある。日本で初期研修を終了した人は2つ目のパタンに該当するだろう(将来イギリスで働きたい人でこれからローテーションを選ぶ人は、きちんと上記条件を満たすようなローテーションを組むよう注意してほしい)。

    厚生労働省が発行してくれる初期研修修了証英訳は、終了したという証明だけでローテーション内容については保証してくれないので、ローテーション内容については初期研修先の病院に作成を依頼する必要がある。私の場合は、ネットで調べて出てくる証明書と初期研修修了証英訳とから書類の草案を作って、病院の事務の方にお願いして、院長・臨床研修プログラム長の2名からサインをもらった。

    私は幸い6ヶ月以上外科系という条件も満たしていて、ローテーション内容自体は問題なかったのだが、病院から送ってもらったデータをもとに私が作った表の年度に一箇所間違いがあって、つき返されてしまった。私のミスで事務の方に大変なご迷惑をかけてしまって、それが結構ストレスだった。

    過去5年間の活動記録

    アルバイトをした時のことを「Locumや引越し準備」と記載してしまったために、「その病院についても詳しく記載せよ」と言われてしまった。ちょっとそれをしぶったためか、その病院からもレファレンスを用意するよう言われた。医師免許を有する状態で行った仕事については本来レファレンス不要なのだが、疑いの目を向けられてしまったのだと思う(Facebookのポストを見ていても、GMCは恣意的にレファレンスを要求できると書いている人が何人もいた)。数日だけお世話になった病院にお願いしてレファレンスを用意してもらった。事務の方がとても親切に対応してくださって、なんとかなったし、書くべき内容ではあったのだが、別に書かなくても良かったのになと事務の方の手を煩わせたことを後悔した(※本来は記載すべき事項)。普通はレファレンスを求められないので、イギリスに来る前にアルバイトをしているような人は、各病院の名前と勤務日を控えておくと記載作業が円滑で良いと思う(※非医療系のアルバイトやインターンシップではレファレンスをもらう義務があるので注意)。

    卒業試験合格日

    私の母校が用意した最終試験合格日を証明する手紙、という謎の書類を要求されて、これもすごいストレスだった。日本には卒業証書と医師免許しかないこと、医師免許は医学部ではなく厚生労働省の管轄であること、日本では各医学部の最終試験合格日は重要ではなくそれの証明は医学部で発行してもらえないこと、などを、医学部からの返信を引用しつつメール3通・電話2件に渡って説明した。頑なに書類を要求していたGMCも、メール3通目・電話2件目で「関係者で協議する」と言ったのち、結局それを必要書類から撤回してくれた。今後もこれを要求される日本の医学部卒業者がいるかもしれないが、頑張って説明してほしい。ちなみに医学部からの返信を翻訳するのにはDeepLが大活躍だった。

    EPIC

    やっと登録できてReport Sentの状態になったのに、GMC側からはレポートが届いていないと言われてしまった。平成と年号の件で電話した時に担当者の対応で嫌な思いをしたので全然乗り気ではなかったが、EPICに電話せざるを得なかった(今回の色々な手続きを通じて、電話が手っ取り早く解決につながるということに気がついた)。どうせ解決しないだろうと思っていて、そこは期待通りだったのだが、今回は担当者が親切だったのでよかった。もう一度GMCに確認して、届いてないと言われたらそのメールを転送せよ、そこで初めて更なるステップを踏む、と言われたので、その旨をGMCにメールした。今は返事を待っているところだ。

    まとめ

    GMC登録は思わぬところで様々な手続きが発生するし、これまで関わってきた組織の事務の人々に大変な迷惑をかける。

    まだ手続きが終わってないのでまたどこかで足を掬われて、結局Full Registrationできない、なんてことになるかもしれないととても心配している。

  • EPICに手間取っていて、焦っている。そもそも1年前に登録完了していたはずなのだが、実は提出した書類がFinal Medical DiplomaではなくAlternative Graduation Documentだったので、GMCでは使えないと判明した。

    私の大学は、英語の卒業証明書を発行している。1回目にEPIC登録した時には、日本語の学位記ではなくこの英語の卒業証明書を提出してしまったのだった。

    Credential cannot be sent for verification (Reason: This document cannot be sent for verification. The document you uploaded is not a Final Medical Diploma; this credential is an Alternate Graduation Document. To have your Final Medical Diploma verified, please upload the official diploma issued by your medical school or university after you have completed all requirements for and been awarded your medical degree. If you would like to have this document verified, please upload it as an Alternate Graduation Document.

    こういうコメントが返ってきたのだが、まさか日本語の学位記の提出を求められているとは思わず、’Alternative Graduation Document’として英語の卒業証明書を提出してしまった(今見返すと明らかに日本語の正式なものを送れと言っているのだけど当時はそう思わなかった…)。

    GMCに登録する段階になって初めて、1年前に登録した書類ではだめだと気がついて、実家の母に頼んで学位記をPDFで送ってもらった。学位記がそんなに重要だと思ってなかったので紛失してなくて本当によかった。日本語の学位記と大学発行の英語の卒業証明書で問題なく受理されるだろうと思っていたら、提出から5日後にこんな返事が返ってきた:

    Credential cannot be sent for verification (Reason: This document cannot be sent for verification. The translation you submitted is not word-for-word; specifically, the translation submitted is not of the original language credential submitted. Please obtain a word-for-word translation of your credential and resubmit.

    逐語訳が必要!がっかりしながらGoogle検索して、最上位の会社名をクリックすると、なんと卒業証書と卒業証明書の違いを解説してくれていて、ECFMGにも言及していて、事情がわかっていそうな会社だった。ここに【特急】で翻訳を依頼した。特急料金+PDF納品+現物は実家に送付、で9900円だった。迅速に対応してもらえてよかった。

    ●

    先ほどEPICに書類提出して、5日以内にEPICの決定が下されるはずなのだが(rejectまたはverificationのため母校に問い合わせ)、少し懸念しているのが、翻訳書類の学位がBachelor of Medicineとされているところだ。母校発行の英文卒業証明書にはDoctor of Medicineと書いてあるが、翻訳会社のものはBachelor of Medicineとなっている。Facebookの情報交換グループにカザフスタン出身の医師がDoctor of MedicineではなくBachelor of Medicineなので書類審査で落ちた、と書いていたこともあって、私の書類も同じ経過を辿るのではないかと結構心配している。

    少し話が逸れるが、学位について調べていてDoctor of Medicineは厳密には正しくないという記事を見かけた。記事中に出てくるMBBS (Bchelor of Medicine, Bachelor of Surgery)、確かにインド出身の医師が使っているのをよく見かけるが、翻訳会社発行の学位は Bachelor of Medicine のみで ‘Surgery’のところがない。英語で調べても、MBBCh, BMBS, MB BChir, BM BChなど「同等」とされる学位名が色々出てくるものの、そこに Bachelor of Medicineの文字がない。Igakushi/ Gakushi(Igaku) の翻訳が Bachelor of Medicineということで、日本ではこうなのだ、と英語圏できちんと認められているのだろうか?ともあれ私の経歴でメールの署名にMDと書くのは間違いだと判明したので、今後はMBにしようと思う。

    手続きが煩雑で(私が間抜けなのが元凶なのだけど)、規定期間内に登録を終えられず、IELTSを再受験しなければならないかもしれないと気を揉んでいる。EPICからの決定が下されたらまた追記しようと思う。

    ●

    【2月24日追記+会社名を伏せました】

    EPICの翻訳は Straker に依頼しましょう

    米国の祝日を挟んで予想より1日遅れて6日(5営業日)で結果が返ってきた。

    学位の件は大丈夫だったのだが、なんと、こんな理由でリジェクトされた↓(誕生日だけ変更)

    The translation you submitted is not word-for-word; specifically, the date 4/1/28 appears on the translation as January 28, 1992. Also, the date 28/3/10 appears on the translation as March 10, 2016.

    平成4年1月28日の数字だけを4/1/28と取り出して理解するなんて、日本語を理解している人のやることとは思えないが、電話をするとイラついた声のスタッフは「専門家がチェックしたのだから間違いない」「正しい翻訳を提出しろ」の一点張り(私も相当イラついていたので、お互いにお互いを刺激しあう悪循環電話だった)。

    ちなみにリジェクトのメールが届いたもののウェブサイトにアクセスできず理由がわからないので困っている(「昨日までやっていたメンテナンスの余波だろうか、いつ復旧するのか」)という質問への応答も、ChromeもSafariも推奨してないという成り立たない会話で本当に腹立たしかった。

    一旦電話を切ったがどうしても納得がいかず、再度電話して年号について説明した。そしたら別のスタッフが上司に掛け合って、こんな返事が返ってきた↓

    As you note, the official calendar used in Japan is the Japanese Imperial year calendar, however your English translation you provided does not make reference to this original (Japanese Imperial) calendar and that it corresponds to the converted dates present in the entire translation.

    For a translation to be acceptable the translator must refer to this calendar at the start of the translation.

    ちなみにこのスタッフも私が困ってるのを鼻で笑う感じで、ECFMG EPICのコールサービスはGMCのそれとは大違いだなと思った。GMC大好き。

    初めは元号を理解しないECFMGに腹が立っていたが、次第に日本の翻訳会社に腹が立ち始めた。ECFMGへ登録する医師向けに学位記を翻訳をしています!という営業をしている会社が作った翻訳なのに、こういう基本的っぽいことが押さえられてないというのが信じられない。

    問い合わせの返信におすすめの翻訳会社への言及があったので、日本の会社に再依頼する方が少し安上がりだったけれど、またリジェクトになるのが嫌なのでおすすめの会社 Straker に依頼することにした(EPICのQ&Aを確認するとそこにお勧めとしてこれが表示されていたが、理不尽な基準を設けているのだからその点を強調してもっと大々的にこの会社へ誘導して欲しいと思う。)

    こちらの会社はQuote依頼時にこんなことを書いていた:

    Thank you for requesting a quote for a USA Certified translation of your document(s) from Japanese to English US. If you would like us to proceed, simply pay using the order now button below and we will dispatch the job on receipt of the order. 

    このUSA Certifiedというところがポイントなのかもしれない。この会社はQuoteのメールからORDER NOWに進むと、名前や住所に加えて、

    Dates mentioned in the document(s):

    If your document contains dates using a non-Gregorian calendar, please provide the dates using the Gregorian calendar.

    として日付を聞いてきたので、USA Certifiedの翻訳ではnon-Gregorian calenderについて必ず言及する決まりになっているのかもしれない(ちょっと調べたらカナダの会社もnon-Gregorian calenderに言及していたので、北米ではそういう決まりなのかも)。

    最終的には、Quoteにあった£54(翻訳+税)にVAT 20%かかったが、最初の日本の会社よりやや安いので、初めからこの会社にしておけばよかったと大後悔した。私が間抜けなのが悪いのだと自責の念が強まっていたけれど、似たような経験をしている人がいて、ちょっと安心した。

    この投稿を読んだ人が広告に惑わされないで Straker に直接依頼しますように。会社名は伏せるけれど、最初に依頼をした日本の会社を結構信頼していたので、お金と時間を無駄にしたことが悲しい。あの会社を挟んで失った10日間が今の私には結構大きい、間に合わなくてまたIELTS受けることになったら嫌だなあ。

  • このブログでは、あまり考えすぎないでその時その時に思うことを書いていくスタイルを維持することに決めた。(数年前から方向性も想定するオーディエンスも迷子のブログなので、こんな決意表明をしても何を今更という感じではある。)

    最近の大きな変化は、(1)英国での就活経過を書くようにしたこと、それから(2)オックスフォード大学に属していると書いたことだ。

    1

    (1)についてはただ長年の夢が現実味を帯びてきたというそれ以上の意味はない。アメリカに留学したい人はたくさんおり、また現在アメリカで働いている日本人医師も多くいる一方で、イギリスで働く話・就活の話は日本語では殆ど見かけないので、情報共有の記事はイギリスで働きたい稀有な日本語話者にとって有用かもしれないと思った。

    医師不足やNHS崩壊の危機(といってもNHSが崩壊するという話は30代の英国人の友人によると「物心ついたときから毎年言われている」そう)など、労働環境や収入に関して、日本出身者が英国にくるメリットはあまりないのかもしれない。イギリスの医学部を卒業したイギリス人でも状況が許せば良い天気と良い労働環境を求めてオーストラリアへ移住する人々がおり、日本の労働環境に不満を抱いているならば、イギリスよりオーストラリアを目指す方が良さそうだ。それでも私は英国を選んだ。

    初めて留学した国がイギリスで、こちらでの生活が居心地が良かった・知り合いができたというのは理由の一つだ。初めて留学する先がアメリカやオーストラリアならまた進路も変わったのかもしれないとは思うが、(オックスフォードという特殊な環境ではあるものの)こちらで接するアメリカ人とそりが合わないと思うことがしばしばあり、英国では居心地が良いが私の性格では少なくともアメリカではやっていけないだろうと思うので英国に留学したのは幸いである。

    ベジタリアンやヴィーガンが一般に受け入れられているところも気に入った(移民が多いからと思っていたが、倫理学者や草の根運動の地道な活動の成果だと知って、ますます気に入った)。南東イングランドやロンドンでは、友達と食事に行くときにわざわざ食事制限について説明するまでもなく、どこのレストランに入ってもベジタリアンメニューが複数用意されている。日本で「肉を食べません」とレストラン選びの前に表明するのが小さいけれどストレスだったなと気がついた。

    また英国の医療界にも女性差別は根強く残っているが、日本のそれとは段違いに良いことも特記したい。こちらで働いている日本人女性医師もそういっていたし、友人たちの話を聞いても日本より環境が整備されていると感じる。私が英国で働くと勿論性差別以外の差別(人種差別とか)を受けることになると思うのだが環境次第なのでとりあえず働いてみないとわからない。

    上に示した米国の「ポジティブさへの同調圧力」と少し関係があるかもしれないが、別業界で米国より英国を選んだ日本人男性が言っていた、「米国で子育てをすると子どもは『米国人になる』が、ロンドンだと周りにいる人たちがもっと多様で、必ずしも『英国人になる』わけではないあたりが気に入っている」も一理ありそうに思う(私はアメリカへの偏見が強すぎるだろうか?)。

    ヨーロッパに近いことや国民皆保険制度も含めて、とにかく社会面で英国が気に入ってこちらに残りたいのと、英国でのGP研修・GPの仕事については色々な意見があるのでとりあえず経験してから考えたいというのが現時点で思っていることだ。(日本も家庭医療を教えている素晴らしい先生がたくさんいて、実際に私が尊敬する上司たちも家庭医で、教育についてはきっと日英あまり変わりがないのだが、それでも私が英国で働くメリットがきっとあるはずである。無事こちらで仕事が見つかったらぼちぼち書きたい。)

    2

    大学名を書いたのはもう少しAssertiveになるためである。いつも自信がなくて、曖昧な表現や沈黙を好む人生で、大学名についてくる「優秀」などのラベルに自信がついていかず、できるだけ隠してきた。これを成せば自信になるだろう、と思って頑張ってきたあれこれも、達成するやいなやゴールが新たなスタートラインに切り替わるので、自信に繋がることはなかった。

    このブログを始めたのは、自分の言葉で発信すること、書くことに関して慣れるためだったのだが、あまりに頻度が低かったので、今後は内容がなんであれ定期的に書き散らしてAssertiveになりたい。

  • 24/3/24 更新

    英国での職探しと後期研修について、医学生時代の古い友達 (現在は精神科後期研修医)と、英国でGP後期研修中の医師 に話を聞いたので、これまでに調べた内容と合わせてメモしておこうと思う。

    ※英国で働くには複数の方法があります。あくまで私の予定に沿った内容のみを扱っています。情報の新旧や正確さについて責任は負えません。

    ちなみに私の目標はGPプログラム(ST; Speciality Training)に乗ってGPになることである。最終的には英国以外の国でも英GP免許で働いてみたいと思っているのだが*、語学面がまだまだ追いつかないので、とりあえず当面の目標は英国でGPになり生活を安定させることだ。応募に必須の条件が各科ごとに異なっていて、GP ST1の中でも特に私に関係あるのが、GMC登録後1年の勤務経験、という項目で、この項目を満たさない限りST1に応募できない。

    *ちなみにNHSで1年働くとオーストラリアで働く要件を満たすようで、PLAB準備クラスのクラスメイトには最終的にオーストラリアに行くつもりでPLABを受けている人がいた。

    内科でも外科でもGPでも、トレーニングポストの必須要項に「GMC登録後1年の勤務経験」とか「イギリスでの1年以上の勤務経験」とか書いてあるのだが、実はイギリスで働いたことがなくてもトレーニングポストに直接応募できる(おすすめはしないが)。

    初めの1年

    上記の理由で私の場合はまずはST1以外の仕事に応募しないといけないのだが、募集要項を満たしている・いないに関わらず、母国から渡英してすぐにSTを始めるのは絶対にやめた方が良い、という話をほうぼうで見かける。制度や文化の違いで大変苦労するようだ。ST期間中の失敗でGMC登録抹消の危機を迎えることもあるようなので注意。友人曰く、おすすめなのは、以下のようなタイトルで募集されている仕事とのこと。

    • Clinical Fellow
    • Trust-grade Doctor
    • SHO
    • FY1,2 / Core Training 1,2 / F2 & Core Trainee
    • Standalone FY2
    • WAST

    ちなみにStandalone FY2がおそらく最も手厚い支援が受けられるので、これが安心なのではと勧められた。Standalone FY2は英語面でPLAB受験資格より厳しいハードルが課せられるが(IELTS全項目で7.5以上またはOET全項目で400以上またはNHSで医師として3ヶ月以上勤務の経験)、その分ライバルも少ない可能性があり、タイミングがあえばこれに応募したいなと考えている。

    今年イギリスにおける初期研修の制度が変わって、CVの出来やテストの成績に関係なくUK中どこに飛ばされるかわからないようになってしまったので(かつては成績や業績によってはある程度地域を選べた)、英国卒業生から強い非難の声が上がっている。non-training jobを2年やっている私に言わせると、Standalone FY2でも non-training jobのFY2でも特定の病院内でのサポート体制は同じなので、大事なのはトレーニングジョブか否かではなくサポートの手厚い病院に行くことである。https://juniordoctors.co.uk/で医師たちのレビューを確認すると良い。

    WASTは、1年の半分をA&E、半分を精神科で学ぶ制度で、時にrubbish jobを引き抜いたり、英国人医師が行きたくないど田舎に派遣されたりするが、これもおすすめとのことだった。2021年からはパンデミックの影響で募集中しになっているが、これも機会があれば応募したい。

    また友人は、Locumの仕事は勧めない、と言った。給料は高いが、雇われたその日から働けることを期待されており、無謀だろうとのことだった。

    Trac.jobs, NHS Scotland, NHSjobs, IMG Connect, Recruitersあたりが、よくFacebookでIMGに言及されているリクルートエージェンシーだ。

    心得

    FY1、2レベルで働く医師にとって最も大事なのは初期のclerkingと、死にそうか死にそうじゃないかの判断、適切な検査オーダー、適切なコンサルト先の選定、などで、マネジメント力は問われない代わりに、NICE CKSの知識を持っていてガイドライン通りにできる必要があるそう。勤務開始前に熟読の必要あり(そんなことはないー病院には「院内ガイドライン」があって、SHOレベルでは基本的にそれに沿った対応をするだけなので、一般的な医学知識・医学的常識があればNICE CKSは読んでいなくても良い)。

    また(GPになりたい人にとっての)GPST期間はGPになるための訓練であると同時にネットワーキングや制度(各地域により異なる)を学ぶ時期でもあるので、できれば将来的に住み続けたい地域を選ぶのが良いだろうとのアドバイスをもらった。(内科や外科におけるGPST期間にあたる重要な時期はST3-7あたり)

    それから応募に関して、インド出身のオックスフォード卒の友人は60-70件くらい応募して5件くらいインタビューの話が来たと言っていたので、そのくらいは覚悟しておいた方が良いかもしれない。時々200件くらい応募したのにインタビューに呼ばれないと嘆いているIMGを見るのだが、それについては募集要項を満たしてないのにひたすら機械的に応募している疑惑があるとGP研修中の医師に言われて、確かになと思った(PLABグループなどで全然文章を読んでない人たちをよく見かける)。

    研修病院の見分け方

    私のブラジル人の友人の友人は、あまりにひどい初めての勤務先(研修病院だったのかは不明)でサポートもなく酷使されたために心を病んで、苦労して渡英したにも関わらずブラジルに戻ってしまい今後も渡英の予定はないとのことだった。良い病院に当たるかどうかはIMGの命運を握っている。友人は質の確認に以下のサイトを勧めていた:

    ALS講習

    GP研修中の医師にはALS講習は受けておくとアピールになって良いと言われたのだが、友人によると、どうも仕事を見つけた後に義務で受講する場合があるらしく、その場合には病院が費用を全額負担してくれるので、どうしても必要(働きたい仕事のrequirementsに記載)でなければ今受けなくてもいいのではと言われた。ちなみにALS講習の日程ページにある”Faculty”はそういう病院枠みたいなものなので、自費で受けようとするIMGには関係ないようだ。あとALSのRequirementsに「既に病院勤務の、またはトレーニングを受けている医師が対象」、みたいな記載があるので、そもそも職探しをしているIMGが受講できるのかはわからない。

    職探し中のIMGでも受講できる。講習のタイミングや病院の寛容さによってはうまくいけば病院が費用負担してくれると思う。ALSは高額なので、私は運良く病院が負担してくれて助かった。

    医師賠償保険

    仕事が見つかったら、

    • Medical Defence Union (MDU)
    • Medical Protection System (MPS)

    のいずれかから、Medical Indemnity Cover を買うべきだと言われた。全ての英国人医師が加入しており、年間40-50ポンドだそう。

    医学部卒業後5年を経過しているような医師は年間720ポンドくらいかかる。↑を教えてくれたのは卒後5年以内の医師だったので、今頃はindemnity coverの高額さに目を回しているんじゃないかと思う。

    医師以外の仕事

    Health Care Assistantとか、MSW(Medical Support Worker)とか呼ばれる仕事が、時々職探し中のIMG向けに募集されている。ケアだったり書類作成だったりの仕事で、医師以外の視点でNHS制度を学べるので、制度や他の職種の苦労を知るのに役に立つようだ。就職にも役に立つと聞く。友人は、なんと言っても医師不足なのでりなもの経歴ならすぐに仕事は見つかるだろうから医師としての経験を積むことを優先すべき、と言っていたが、バックアッププランとして他の仕事もありだなと思っている。

    Clinical Attachments

    1-2ヶ月の間、医師についてまわる、学生の病院実習のような制度があって、それもまたNHSの制度を学ぶのに良いとされている。難点は、パンデミックの間は受け入れ先を見つけるのが難しそうなこと(嘆いているIMGをよく見かける)、もちろん無給なのでその間の生活費が嵩むことなどと思われる。

    Clinical Attachmentsの多くは、病院に一定額を支払う必要があるようなのだが、広告を出している病院の中には、1ヶ月で£500から£1500(!)も取るところもあって、私はClinical Attachmentsに応募するか迷っている。知り合いのツテで受け入れてもらえることもあるようで、思い当たる人がいるならお願いしてみるのも良い。

    Clinical Attachmentsは採用率を上げるかもしれない最後の手段で、費用の割に、採用率を上げる「かもしれない」くらいの効果なので、Clinical Attachmentsよりは何らかの研修医向けトレーニングコースや学会に参加する方が採用率に関与すると思う。

    以上が大体これまでに調べた内容。

  • 前回、ディナーの席での少し嫌な経験について書いた。あれから某グループの私の投稿にさらにコメントがあったので考察したいと思う。

    それは幼少期から英国の白人が多い地域に住んでいたという東アジア系の女子学生からだった(もちろんコメントをもらえるのはethnicityに関わらず嬉しいのだけれど、東アジア系だと特に嬉しい)。簡単に訳してみると、こんなかんじだった:

    私は幼少期からイギリスの白人ばかりが住む地域で育ち、両親や私に対して常にこういう振る舞いをする人たちを見てきました。10年が経って、さまざまな背景をもつ人たちと出会って初めて、私の経験は人種差別だったのだと気が付きました。露骨な差別用語がなかったから、これは人種差別ではない、と自身に言い聞かせていたけれど。

    でもこれは自己不信の問題もあって差別だと言い切るのが難しいのです。過剰に反応しているだけ、とか、被害妄想がある、とか、自分で自分の経験を疑ってしまうのです。あなたの投稿に対して多くの人が、それは当然の感情でこの振る舞いは許されない、と言っていることに安堵しました。

    仲の良いミックス(“ハーフ”)の友達と話すのが、私にはとても役に立ちました。自己不信や不確実さがどれだけ私たちに問題となっているか、それについて話すことでだいぶ楽になりました。マイノリティーの経験は重要で、聴く価値と是正する価値があります。人々の態度がよりシステミックな人種的不正をもたらすので、あなたがこうしてあなたの経験を話すことは非常に重要です。

    E (“Fellow East Asian”)

    正直なところ、Eの経験を知ることができて良かったのか悪かったのかわからない。前回は「オクソニアン」に焦点があったが、今回は「白人」についての話で、今後も私がこういうことに無数に遭遇する可能性を示唆している。私の知り合いは善意に溢れた人ばかりなので、そうでない世界がこの国に混在していると意識することは、この国で生きていこうと思っている私の気持ちを少しだけ挫く。

    それから、自己不信(Self-doubt)について。言われてみれば、オックスフォードの外でも一度同じような経験をした(私は本当に指摘されるまで気が付かない!)。それは大学院生向けのフレンドリーな学会での出来事で、ケンブリッジ卒の救急医2名(研修医・指導医)にディナーの時と全く同じ対応をされたのだが、その当時も「私が過剰に反応しているだけ」「私の感じ方が悪い」「私がつまらないからこういう扱いを受けた」と思っていた(ケンブリッジ卒というところがちょっとレッドフラッグなのかもしれないー「典型的なケンブリッジの特権ある白人学生」はおそらく「典型的なオクソニアンの特権ある白人学生」と同じような振る舞いをするだろうから。ちなみにダーラム大学やセントアンドリュー大学など、オックスブリッジと似たようなコレッジ制度をもつ大学たちは、オックスブリッジと同等かそれ以上にポッシュだと聞く。それから偏見を承知で言うとーそもそもブログは自分の偏見を表明するところなのでー救急医という職業もまたこういう態度と関係あるかもしれない、自信家でせっかちでテキパキしていないと務まらない仕事なので)。

    確かに、自己不信の側面は異論なくありそうだ。ただ、実際に私がつまらない人である可能性も大いにあるし、つまらない人に対して人々がこういう態度をとることはPeople of Colour (POC)に限らず、白人同士でもしばしば起こっている可能性があるため、差別とよぶことに少し自信がない(これもまた自己不信の現れだろうか?)。

    例えばパートナーを通じて知り合った親しいケベック出身の友人は、白人男性で背が高くてスポーツクラブに属していて運動が得意で(つまり私が持っていない属性を全部持っている)、そして私やパートナーにはユーモア溢れる面白い人に映るのだけれど、「パーティーに行ってもポツンと立っているだけで時間の無駄だから行かない」「自分から人に話しかけることはないし人も自分に話しかけてこない(→私が感じた『透明人間』に近い感覚?)」というようなことを自虐的に笑いながら話す。私のパートナーもまた、「ドレスコードがBlack Tieのイベントにオックスフォードに来るまで参加したことがなかった」と話したあとから、ドイツの貴族出身の男子学生がディナーの席で自分に話しかけなくなったという経験をしている(この貴族出身学生のお眼鏡に適う人は一体世界に何人いるのだろう?)。

    こういうことは、実は白人男性同士でも起こっている以上、同じことが異なるEthnicity間や性別で起こった場合にのみ差別と呼ぶことのinconsistencyを感じないでもない(白人同士だと、名前を変えた差別になるのだろうか?階級差別とか。)。

    自分が渦中にいると疲れてしまう。こういうことに心のエネルギーを割けるほど心に余裕がないので、私にできることは、少し感度を下げていろんな刺激に鈍くなることなのだろうと思う。ちょっと考えすぎるところも直したい。

  • 最近大学のExchange Dinnerに参加した。Exchange Dinnerでは、各コレッジの希望者十数名が自分のコレッジと相手のコレッジそれぞれで食事をして交流する。Home leg, Away legといって、2回参加するのが原則のイベントだ。

    本題にうつる前に少しオックスフォードのコレッジ制度について説明すると、オックスフォード大学とコレッジの関係は、ハリーポッターでいうホグワーツと4つの寮の関係に似ている。オックスフォード大学は学生の成績などを管理する一方で、コレッジは住居などの学生生活全般やTutorialという少人数生の授業を管理している。コレッジごとに特色があって、この学問ではこのコレッジが強い(たくさんの学生が在籍している)とか、このコレッジは裕福なので学生の福祉支援に手厚い・奨学金制度が充実しているとか、そういうのを加味しつつ、いくつか選択肢を提示された中から第一希望を提出する。コレッジの雰囲気はUndergraduateとPostgraduateでも全然違うのだが、一般的に、Christ Church College (ChCh)とNew Collegeは非常に「ポッシュな」学生が多いことで有名だ。ちなみに私の仲良くする友人は、ハリーポッターの映画を理由にChChを選んだが、あまりのポッシュさに耐えられず学部2年目でコレッジを変えている(途中で変えることも可能なのだ)。Postgraduateになるとイギリス人ばかりだった学部からガラッと雰囲気が変わり、一気に国際的な様相を呈するのだが、やはりChChはそのポッシュさで有名である。

    この前置きをしたのは、私のExchange DinnerがChChだったからである。ChChの悪い噂(ポッシュさに憧れる人には良い噂なのだろう)を聞いていたので、少しの憧れはあったものの、結局第一志望にしなかったChCh。かの有名なホールで夕食をとる機会が巡ってきたので、どんな学生と会うのだろうかと不安と期待の入り混じった気持ちでHome leg(=ChChの学生が私のコレッジを訪れる回)の時を迎えた。

    「典型的なオクソニアンで特権を有する白人男性」

    この記事のタイトルの男性と出会ったのは、ウェルカムドリンクの後のダイニングホールだった。彼は私の横の席に座っていた(Exchange Dinnerではしばしばコレッジごとにテーブルを挟んで一列に座る。つまり、ポッシュな彼はChChではなく私のコレッジの人なのだった)。

    オックスフォードでは、名前と専攻と研究内容をセットで話すのが一般的だ。自己紹介はそこから始まって、研究内容からどんどん話が広がってゆく。

    その日彼は、私の名前も専攻も研究内容も聞かなかった。私は彼にとって、透明人間のようだった。彼は私から彼への直接の質問には短い返答をしたけれど、それ以外は、一切私の方を向かず、話を振らず、反応もしなかった(一度だけ自発的に私に反応した時は、皮肉るような小馬鹿にするようなことを言った)。他の学生は私を会話に入れていたけれど、彼だけは頑なに私を無視していたというか、無視にも至らない無意識のレベルで私を会話から排除していた。

    その日はとても落ち込んだ。家に着いてその日のことを反芻して、涙が出てきた。私の英語力が低くて話す価値がないと思われたのか、つまらなかっただろうか、アクセントが聞くに耐えなかったのか、容姿が悪かったのだろうか、何か失礼をしただろうかと自分の粗探しを始めた。私は少し繊細すぎるなあと思いながら、それでも悲しさから抜け出せなかったので、オックスフォードの女子学生たちの自助会のようなグループにこの出来事について気の持ちように関するアドバイスを求めて投稿をした。

    すると思ったより反響があって、全てのコメントが「あなたのせいではない」「どういう理由があれそのような振る舞いをするその学生が悪い」といったものだった。私の投稿に、無関係な事項かもしれないが私は東アジア人で彼は白人のアメリカ人だった、と付記したためか、「私は東ヨーロッパ出身の白人だがあなたの投稿は私の過去2年間を辿るような内容だった。人種に関係なく外国人に対してそういう態度をとる人が少なからずいる。」というのもあった。

    中でも興味深かったコメントが、「それは典型的なオクソニアン(;Oxonian =Oxfordの学生・卒業生)で特権を有する白人男性の振る舞いで、残念ながら想像以上によくあること」というものだった。このコメントをくれたのは東アジア出身の学生で、特にSisterhoodが滲み出たコメントで、とても癒された。

    言われてみると、彼は確かに典型的なオクソニアンのように思われた(そういえばポッシュな学生に会うかもしれないと心して参加したのに、ウェルカムドリンクで話した人たちが素敵だったので、一気に警戒を解いてしまったのだった)。米出身で、ケンブリッジで修士号をとってオックスフォードで博士課程に在籍しているアメリカ人で、筋トレが趣味で、オックスフォードユニオン(;Oxford Union, 伝統あるディベート部で将来政治家になりたい学生たちが好んで所属する)のメンバーだった。ウールの混じった良い素材の茶色いスーツを着ていた。米国出身なのもあの態度に関係あるのだろうか(私はオックスフォードにいる米国人とそりが合わないことが多い、自信満々で不遜な感じがどうも私と合わない)、連帯を示してくれた東アジアの学生のコメントで、私の経験は決して珍しくないし、彼の振る舞いについて自分を責める必要はないのだと理解した。

    この指摘をうけて改めてこれまでのオックスフォード生活を見返すと、確かに時々こういう人に会っていたのだった。彼らは私のような人間が嫌いで決して寄ってこないのだが、時にアクシデントで同じ空間に居合わせてしまう。クラスにいたカナダ人医師、アメリカ人学生、ボートレースで後ろ立っていた英国人学部生に、フランス語の授業で一緒になったボリスの首相就任を盛大に祝いたい英国人学部生たち。

    私が意識的に恐れていたのは、道端で投げつけられる差別的な言葉だったけれど、こういう形で存在を否定されることもあるのだと今更ながら気がついた。私の知っている「特権を有する白人男性」たちは皆優しくて親切だったので、「典型的なオクソニアンで特権を有する白人男性」の存在が全く見えていなかった(繰り返すが彼らが私に寄って来ることはなく、出くわす機会が少なかったので、時にはああいう嫌な人もいるなあくらいの認識だったし、彼らはChChとNewくらいにしかいない少数派だと思っていた)。

    ちょっといい経験になったなあと思う。次にああいう人にあったら、「あー典型的なあれだ、気にする必要なし」と一蹴したい。そして、わざわざああいう人に会う可能性が高そうなExchange Dinnerに参加した自分の勇気を褒めたい。

  • PLAB2に合格したので一刻も早くGMCに登録しなければと色々な書類を集め始めた。GMC登録料についてこれまで気にしたことがなかったのだけれど、卒後5年で費用が大きく変わるらしい。例えば2021年4月1日までの申し込みは、卒後5年以内なら£157、卒後5年以降なら£408と大きく開きがある。無収入なら50%off(つまり£204)などIncome Discountの制度もあるようだけれど、卒後5年以内なら自動的に割引されるので手間が少ない。

    それから、知らなかったけれど、GMCのRegisterに残るためには毎年一定額を払い続けなければならないらしい。たしか「昔Registerに載っていたけれど今は載っていない人」向けのGMC再登録に関するページへのリンクを見たことがあったように思うけれど、こういう理由だったんだな。