ストライキ3

今週、イングランドで3回目の研修医のストライキがあった。争点は相変わらず、pay restorationで、British Medical Association (BMA)は今後も政府が要求に応じるまで毎月ストライキをするつもりだと言っている。

ストライキについては以前の記事で言及したので、今回はイングランドのPhysicians associates(PA)について書きたい。

PAは医師不足のなか、医師の補佐をする即戦力として作られた職種で、病棟で研修医2年目相当の仕事をしている。理系の大学を出た後に2年の大学院を経るとPAの資格を得ることができる。

NHSでは、医師以外の仕事は、看護師や薬剤師といった医療職はもちろん、清掃業やポーター(患者さんを検査室や病棟へ移動したり検体を検査室まで運んだりする仕事)といった非医療職も含めて、Bandという制度に則って給与が決められている。PAの給与はそのトレーニング年数(学部+大学院)から、勤務1年目からBand 7として給与が支払われる。

PAの給与で問題とされているのは、PAはあくまで医師の補佐をする存在であるのに、医師より給与が高い点だ。BMAが実施するストライキのリーダーの一人であるTom Stocks医師がその点をまとめてくれていたので、ここに訳してみる:

ーーーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーーーーーーーー

これは、Agenda for Changeの職務評価書です。280ページもあり、NHSの仕事をどう評価するか、その役割に必要なトレーニング、スキル、知的/物理的努力、責任など、16の異なるカテゴリーについて、詳細に検討されています。各カテゴリーに点数がつけられ、その合計点数でその役割の給与体系が決定されます。

完璧ではありません。多くの人が不公平だと感じていますが、給与の公平性の基準を設定することを目的としており、過小評価されたと感じる人が法的に異議を申し立てることも可能です。

現在、医師はAgenda for Changeの契約には入っていません。この契約に縛られると、専門職として交渉するのが難しくなるからです – 看護師たちに聞いてみてください!

私たちが行ったように、AfCの職務評価スキームを詳しく見てみると、医師がNHSにもたらす比類のない臨床スキルに対して、ひどく低賃金であることがすぐにわかります。

これは、政府が発表したもので、私たちがいかに搾取されているかを正確に説明していることを忘れないでください。もし医師がこのシステムで仕事を評価されたら、少なくともバンド7でスタートすることになるでしょう。

平均的な初期研修医のロタをAgenda for Changeのバンド7契約に当てはめると、必要な賃金上昇は、私たちが求めている35%の給与回復を遥かに上回ることになります。夜間、週末、総労働時間などの頻度にもよりますが、必要な給与の引き上げは、腐敗した独立した給与審査機関(DDRB)を持つ、現在の別契約システムで医師が受け取る給与より60~80%高くなるでしょう。

一例を挙げます: NHSの新しい職種のひとつに “Physician Associate “というものがあります。以前は “Physician’s Assistant “であったことから、その役割の本来の意図について知ることができます。この新しい名称は、医師と同じように聞こえるが、医師ではありません。

PAは、薬の処方やX線撮影の依頼をすることはできません。医師が代わりにサインをしなければなりません。資格取得のために6年間の医学教育を受ける必要はなく、2年間だけでいいのです。実際、医師の監督なしに働くことは法律上できません。

PAが任命時にもらえるBand7の基本初任給は、43,742ポンドです。医師は29,384ポンドからです。14,300ポンド以上少ないのです。

実際、医師がPAの初任給を上回るのは、少なくとも勤務5年目までで、その間、文字通りPAを監督しているにもかかわらずです。つまり、医師から監督されているスタッフは、監督している医師よりも多くの給料をもらっていることが多いのです!

アシスタントの給料が上司より高い。これは公平なのでしょうか?そうですね、イエスでもありノーでもあります:

PAは、患者の病歴を記録し、監督下で患者を管理することができますが、これには多くの訓練と技術が必要で、政府の独自の分析では、バンド7の給与に値すると判断されています。

つまり、定義上、PAは少なくともこの給与に値すると政府は判断しているのです。しかし、医師はどうでしょう。

AfCの職務評価ハンドブックにある16項目のうち、ほとんどすべての項目でPAを上回っています。PAが医師より優れている項目はありません。

ですから、上記のように、医師が政府の考える公正な評価と一致するためには、60~80%の引き上げが必要であることは当然です!

というわけでスティーブ・バークレイが、実際の交渉の場で、NHSの職員はすべて技能に応じて給与が支払われると言ったのは、2つのことを物語っています:

1) 彼はこう考えている
BMAは宿題をやっていないと思っている(小学生の間違い)。

そして…

2) 彼はNHSがどれだけ医師を搾取しているか正確に知っている。

つまり、小学生のバークレイは、35%の賃上げでも、政府が作成した「職務評価ハンドブック」の280ページに記載されている、我々の労働に対する客観的評価には及ばないことを知っているのです。

つまり、バークレイやその他の誰かが5%を「公正かつ合理的」だと言うとき、彼らは嘘をついており、そうだとわかっていのです。

私たちには代替雇用主がいません。しかし、私たちには98%のストライキ指令がある。

だから、もう一度言うのです。もっと大きな声で。

私たちは、給料で医療費を補助することも、故意に、故意に、無謀に搾取されることも、これ以上しない。

オールアウトだ。

💪🏼💪🏽💪🏻💪🏿💪🏾

明日、ロンドンとマンチェスターで開催される集会でお会いしましょう。

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PAは医師より給与が高い上に、PAの年会費は£50と医師と比べると破格の維持費や試験代がかからないことなども研修医の間でよく話題になっている。またPAは3-4ヶ月ごとにローテートする研修医と違い、特定の科に長く勤務することが多いので、自然とその科に必要な知識がふえることもあり、医師によっては「初期研修医よりPAの方が優秀なのでその分給与が高いのは仕方ない」という表現をする人もインターネットでは見かける。

医師不足改善のために新しい職種を作ったものの、そのねじれは思ったより大きそうだ。

Author: しら雲

An expert of the apricot grove

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