仕事が決まったのでこれまで大変だったことを[就活まとめ]のタグでまとめようと思う。
応募60件目を過ぎたくらいからやっと面接に呼ばれるようになった。Road to UKによると、最初の仕事を得るまでに3-4ヶ月かかるようなので(“This is almost established among IMGs in the UK that it requires at least 3-4 months to get your first job. Please be patient and keep looking for NHS jobs and keep applying.“)、私のは一般的な経過のようだけれど、やっぱり3ヶ月に及ぶ相次ぐrejectionには心が滅入った。6月初旬〜中旬が応募締めきりの病院で7月初旬にshortlistedのインタビュー通知が来たので、病院によっては1ヶ月くらいかけて選考するみたいだ(早いと数日でRejectionの通知がくる)。3件呼ばれるまでに80件くらい応募して、60 40件目あたりの2病院・60件目あたりの1病院から面接の連絡をもらったので、この調子でいくともう数件呼んでもらえるのかもしれない。
病院からオファーをもらうと、数日〜長くても1週間くらいでオファーを受けるか断るか決めなければならない。なので、よっぽど働きたい病院や科があるのでない限り、一番か二番にオファーをくれたところに決めるのが一般的だと思う。
私の場合は、60 40件目前後でオンラインのCV講習で学んだことを活かしてCVを大幅に改善したので、それが功を奏したのだと思う。CVの書き方についても少し落ち着いたら別の記事に書こうと思う。
準備内容
Medical Interviews A Comprehensive guide to CT, ST& Registrar Interview Skills は必読だと思う。これに沿って自分の経験を整理して散歩しながらブツブツ練習した。日本で英語のレッスンに使っていたPreplyのポイントに残りがあったので、面接対策をしている英国人の講師から3回ほどレッスンも受けて、自分の答えを練った。講師は1問3-5分で答えるようにと言っていたが、実際に面接を受けてみて、10ー20分の面接で半分が経歴・半分がクリニカルシナリオについての質問なので、各質問1-2分くらいで回答するのがちょうど良いのではと感じた。また、事前のメールでは各面接20分と指定されていたものの、実際はいずれも10分程度で終わった。友達もそのように言っていたので、早く終わってしまうことは必ずしも悪い結果を意味しないようだ。
他には記事の最後にリンクを貼っているウェブサイトと、Oxford Handbook of General PracticeのEmergencyのページをざっと復習した(よく勧められているのはOxford Handbook of Clinical/Acute MedicineのEmergencyのページなので、一応そちらも一読した)。
FY2, FY3, SHO, ST1あたりの仕事に応募するつもりなら、治療方針については初期治療を述べた後に「この後はSeniorと相談する」というべきだと思う。患者さんの安全が第一・FY2は守られた責任低い立場で働く、というのが英国内で共有されている考え方なので、わからないことがあれば素直にわからないと言い、いつでもSeniorに言及しておくのがいいかもしれない(PLAB2みたいだ!)(ただしmiddle-gradeかsenior-gradeで応募する場合には勿論その限りでない)。
当日はラップトップをブックレストで高い位置に置いて、カメラと視線が同じくらいの位置になるように調整し、マイク付きイヤフォンを使った。服装は日本の就活みたいな感じで、スーツにした。メールで事前に指定されているように、いずれの面接でもパスポートやGMC免許も手元に置いて望んだが、必要とはされなかった。
病院1(FY2, A&E)
コンサルタント2名とMicrosoft Teamsで話した。募集要項には1年と書いたが実は半年の仕事である、それでも良いか?とまず確認された。
- 今何をしているか。
- 最終の臨床勤務はいつ・どこでか。
- 救急科の経験
- Scenario 1) Middle-aged man, intermittent pain in his chest, pain radiating to the left jaw and shoulder. What will you do?
- Scenario 2) A young woman was brought to the hospital with co-codamol overdose. Slightly drowsy. What will you do?
- Scenario 3) Patient with acute appendicitis. Confirmed diagnosis but refused to be taken in by surgeons. What will you do?
- Scenario 4) Treatment of STEMI?
- Scenario 5) Children fell from a bed. What to ask? Which guidelines to look at?
- 何か質問はある?
シナリオはあと1つあった気がするけど忘れてしまった。ABCDEに従って治療します、まずAは…Bは…としていたら「それはいいから全体的な治療方針を」と言われた。ネットで集めた情報と友達2名の話では、インタビューではPLAB2のようにABCDEに沿って一つ一つチェックしていくのが求められているように思われたので、意外だったけれど、多分ABCDEそれぞれに言及していると時間がなくなるので、ABCDEは「ABCDEに従って初期対応する」と表現するにとどめておいて、あとは必要な処置だけに言及するのが良さそうな印象を受けた。
シナリオについてはだいたいPerfect!と言われた。Scenario2でco-codamolがコデインと何の合剤なのか思い出せなくて(名前から明らかなのだけどとても緊張していて思い付かなかった…)採血で肝機能腎機能の確認と自殺願望の確認をして呼吸数に注目しつつ入院して補液で様子を見る、と言ってしまった。多分服用時間とかアルコールの有無とか、その辺のPLAB2のoverdoseで勉強するようなことを聞いて、NACにも言及しなければならなかったと思う。それからScenario 5でガイドラインについて尋ねられた時には、咄嗟に「今はっきりと思い出せませんが、米国かカナダの…」と言ってしまったのだが、答えは「NICEガイドライン」だった。UKなので当たり前である。翌日に合否を連絡しますと言われて15分で終わった。
翌日にメールで結果発表があり、私は不合格だった。面接で不合格になると連絡して理由を尋ねて良いので(不合格メールにもフィードバックのため電話して良いとして電話番号が記載されている)、何度も電話したのだけれど繋がらず、学会発表でバタバタしている時だったので結局理由は聞かずじまいになってしまった。Scenario2と5、ABCDEでモタモタしたこと、最終の経験が日本でかつ何ヶ月も前であることが理由だったのではと疑っている。
病院2 (FY2, Rotational)
こちらもコンサルタント2名とMicrosoft Teamsで話した。メールに名前のあった人とは違うコンサルタントが対応していた。
- Go through your CV
- What are you doing in 5 years?
- Scenario 1) Hospitalised patient, melena, what will you do?
- Scenario 2) You discharged a patient. You forgot to prescribe DOAC for your patient despite what your supervisor told you. What will you do?
- Any questions?
(1) については、” I will stabilise the patient following the ABCDE approach. C is particularly important here, so I put two large bore cannulas, start infusion, and take blood, including CBC and cross match. I will ask the patient not to take anything orally until the next course of action is decided.” とnext course of actionを決めるのは誰かをぼかして言ったのだけど、考えれば考えるだけ”I’ll talk to my senior.”と”Endoscopy.”に言及すべきだったなと面接後はかなり落ち込んだ。
英国人の友達による模範回答は “The melena you would, after ABCDE stabilisation, do Glasgow-Blatchford score and call gastro reg on call as soon as possible as they will likely need same day endoscopy. If they are haemodynamically unstable as well as cross match you would consider activating major haemorrhage protocol.”とのこと。日本と同じ。
(2)についても、謝る・処方すると言った後に「他には?」と聞かれて、インシデントレポートを書いてSeniorに連絡する言ったのだけど、多分「GPに伝える」も必要な回答だったと思う。
質問はないかという質問には、auditsは一般的に何件くらい参加できるのか・on-callの頻度はどのくらいかという質問を返した。auditsは最低1件はできると思う・法律?GMC?で定められたのに則って勤務してもらうのでon-callの頻度は不明だが働きすぎることはない、と言われた。あんまり働きたくないように思われたかな、でもここで必死にそうじゃないと強調すると言い訳めいていて逆に悪印象なので何も言わないで頷いた方がいいかな、と一瞬でいろんな考えが頭に浮かんできてとても不安だった(結局何も言わないで Thank you とだけ返した)。
うまくいかなかったように思えて落ち込んでいたけれど、金曜日に面接をして月曜日に採用のメールが届いた。
病院3 (ST1, O&G)
コンサルタント2名と事務の人とMicrosoft Teamsで話した。30分くらい遅れて面接が始まった。
- Your background & Clnical experience?
- Which speciality do you want to pursue?
- Scenario) 3 days PV bleeding. 1 month without a period. You are called by someone in A&E. What will you do?
- Your VISA status?
シナリオは鑑別診断をあげて、特に大事なのはEctopic Pregnancyで、その検査と治療は…と話した。結構まっすぐな問題だった。前回の2病院の面接では英国人コンサルタントが対応したけれど、今回はインド訛りと中国語訛りのあるコンサルタントで、聞き取りがやや難しかった一方で、ゆっくり話してくれたので前回2病院より落ち着いて望めたと思う。
VISAについては、私はTier 5 Youth Mobility VISA(いわゆるワーホリビザ)で現在英国に滞在していること・Tier 5 だと医師の仕事でもNon-training jobならできるはずであること等を説明したら、コンサルタントが事務の人に確認して、「ちょっとグレーゾーンなので、採用となればこちらからビザを発行します」と言われた。グレーゾーンなんだな(ちなみに私がTier5を得た2021時点と2022現在とではTier5自体のルールも変わっていて、私が取得した時点ではnon-training jobであれば臨床可、training jobは不可、となっていたはずなのだが、現在はおそらくどちらも可である)。
ちなみにこの病院はかなりリベラルな地域にある。その影響もあってか、あらゆる点でダイバーシティを保つことを目指している・年齢も性別も人種も宗教も出身地も性的指向も子どもの有無もケアの義務の有無も障がいも関係なくとにかく応募してほしい、みたいな宣伝をしているのだけど、面接のメールには「もしUK出身者と非UK出身者で同等の候補者がいる場合にはUK出身者を優先する」と書いてあった。
今日か明日には連絡すると言われた。ここの結果発表を待ってから2の病院に返信しようかと思ったが、2が現住所と近くて都合良いこと、初めての仕事でO&Gは少しストレスが大きすぎるかもしれないと思って、2を選んだ。でも3の地域が大好きなので家庭医の後期研修への応募はこの地域にするかもしれない。
リンク集
4,8は質問内容が書いてあるので雰囲気を掴むのに良いと思う。
- Awaiting Job in the NHS (Road to UK)
- Managing the Interview (NHS Jobs)
- Interview with Impact (BMJ)
- My Interview Experience for Non-Training Jobs (Naseer’s Journey)
- The NHS Job Interview : Questions and Answers (Road to UK)
- Omar’s Guidelines; Giving Successful Interview
- Ethical Scenarios asked within NHS interviews (BDI Resourcing)
- My NHS Interview Experience (Helen’s Journey)
- ATSP Booklet
まとめ
練習と準備が大事。
日本の医学部出身者は「上司と相談する」があまりに自明で言葉にすることの重要性を忘れがちかもしれないので(私だけかもしれないけれど)、FY2レベルに応募するときはそれに留意してほしい。
あと友人にはSJT (Situational Judgement Tests)の練習が面接に役立つかもしれないとアドバイスされた。イギリスの初期研修制度 Foundation Programmeに応募する人は全員これを受けているので、これを知らないIMGsは面接でやや不利だろう、とのことだった。 結局私はSJTを勉強する前に無事仕事を得たし、IMGsのグループでこれについて言及している人を全く見かけないので、SJTの勉強なくしても面接突破は充分可能なんだけど、これを読んでいる人は万全を期して面接に望みたいならSJTに早めに取り掛かってもいいのかもしれない(ちなみにGPの後期研修コースに応募する前にもこのテストを受けなければならないので、GP志望の人はますます早めに取り組むと後で楽かもしれない)。
<今後書くこと> 仕事の選び方・探し方、CVの書き方、ALSやClinical Attachmentsなど、最初の1年でやること(後期研修アプライにむけて)、日本でできる準備
*2022/7/19追記 3件目の病院も採用の連絡がきた!